独立(読み)どくりつ(英語表記)independence

翻訳|independence

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

独立
どくりつ
independence

国家が他のすべての国家の制御,支配から自由である権利をさし,生存や平等の権利と並んで国家の基本的権利とみなされる。国内問題,外交政策を自国政府の完全なコントロールのもとにおくことができなければ国家は存在しないことになるが,現実には,そのようなコントロールを部分的ないしは完全に失っていても国家と認められるケースがある。国際政治において独立とは,従来植民地や属領の地位にあった地域,あるいはある国の一地方であった地域が,新たに主権国家として発足することを特にさす。前者の例がより一般的であるが,後者の例としては,バングラデシュパキスタンからの分離独立がある。独立の前提となるのは,一定領域内の住民が独立の政治社会を形成したいという意思をもつこと (ナショナリズム) と,その意思の表明が国際的に承認されることであるが,現実の支配国がそれを認めない場合には独立戦争に発展することが多い。

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デジタル大辞泉の解説

どく‐りつ【独立】

[名](スル)
他のものから離れて別になっていること。「母屋から独立した離れ」
他からの束縛や支配を受けないで、自分の意志で行動すること。「独立の精神」「独立した一個の人間」
自分の力で生計を営むこと。また、自分で事業を営むこと。「親から独立して一家を構える」「独立して自分の店をもつ」
(法律の拘束を受けるが)他からの干渉・拘束を受けずに、単独にその権限を行使できること。「司法の独立」「政府から独立した機関」
一国または一団体が完全にその主権を行使できる状態になること。「独立を宣言する」「独立したての若い国」「独立国家」

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世界大百科事典 第2版の解説

どくりつ【独立 independent】

数学用語。偶然現象を数学的に記述する場合,根元事象集りである事象Aとその確率P(A)を考える。二つの事象A,Bは,両者がともに起こる確率P(AB)がそれぞれの確率の積P(A)・P(B)に等しいとき,互いに独立であるといい,そうでないときは互いに従属であるという。いくつかの事象A1,A2,……,Anを考えるときは,その中の任意の部分Ap,Aq,……,Arに対してP(ApAq∩……∩Ar)=P(Ap)P(Aq)……P(Ar)が成り立つときA1,A2,……,Anは独立であるという。

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大辞林 第三版の解説

どくりつ【独立】

( 名 ) スル
〔古くは「どくりゅう」〕
他と離れて、一つだけ立っていること。また、他のものとはっきり別になっていること。 「 -家屋」 「 -の部屋」
他人の援助・束縛を受けず、個人が一家をかまえて生活を営むこと。 「親から-する」 「 -して店を出す」
他から干渉を受けずに、単独で権限を行使し得ること。 「司法権の-」
他のいかなる権力、特にいかなる他国家の権力にも従属せず、主権を行使する能力を有すること。
植民地・属領などが、主権を獲得して新たに独立国となること。 〔類義の語に「自立」があるが、「自立」は他者に依存せずに自分一人の力で物事を行う意を表す。それに対して「独立」は他からの支配や援助を受けることなく、単独で物事を行う能力を持つ意を表し、国家などについて言うことが多い〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

独立
どくりゅう
(1596―1672)

江戸初期に来日した中国の禅僧。浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう)仁和の人。俗姓は戴(たい)、名は笠(りゅう)、字(あざな)は曼公(まんこう)。25歳から中国各地を転々として修業のかたわら医術を習得。一方、30歳前後には詩人としても名をあげたが、明(みん)の滅亡を慨嘆して故国を捨て1653年(承応2)長崎に来航した。翌1654年来朝の黄檗(おうばく)宗の高僧隠元隆(いんげんりゅうき)に感化され、58歳で帰依(きえ)して得度、法名を性易(しょうえき)、字を独立と改めた。隠元に随行して大坂、江戸と回ったが病のため長崎に帰り、以後は岩国や小倉(こくら)など西国で活躍、寛文(かんぶん)12年77歳で小倉に没した。書は師隠元の影響を受け、いわゆる黄檗流の名手として名高い。しかしそれには、明の王寵(おうちょう)(1494―1533)の書を学び、それを凌駕(りょうが)するまでに明代書法を堅実に習得していたという基礎があった。彼の書は高玄岱(こうげんたい)(深見玄岱。1648/1649―1722)、北島雪山(きたじませつざん)に継承されて唐様(からよう)として発達、江戸前期の書壇に多大な影響を与えた。また、篆刻(てんこく)の正統的技術を日本に初めて伝えており、彼に遅れて来朝の心越(しんえつ)(1639―1695)とともに日本の篆刻の始祖に数えられる。[名児耶明]

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精選版 日本国語大辞典の解説

どく‐りつ【独立】

〘名〙 (「りつ」は「立」の慣用音)
① 他に束縛されたり、支配を受けたりしないで、自身の力で行動すること。
※学談雑録(1716頃)「学者は独立・特行、何をも頼むことはなし」 〔易経‐大過卦〕
② 個人が一家をかまえ、生計をたて、完全に私権行使の能力を持つ状態になること。
※東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉二「郎が父元某店の傭夫(〈注〉やとひもの)と為り、〈略〉終に独立の肆店を開く」
③ 一国または団体が他から支配されることなく完全にその権限を行使しうる状態になること。
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一「世界中の国々相分れて各独立の体を成せば」 〔荀子‐仲尼〕
④ 他のものから離れて立つこと。また、他のものとはっきり別になっていること。
※黴(1911)〈徳田秋声〉二三「二階には見晴の好い独立の部屋が幾個(いくつ)もあったが」
[補注]「ドクリュウ」の読みが確認できる例を除き、本項の用例としてここにまとめた。
[語誌](1)「立」は漢音呉音ともにリフで、「独立」の読みは、古くはドクリュウであった。中世後期から近世前期にかけての節用集(文明・易林・書言)には「ドクリツ」とあるが、キリシタンが作成した漢字辞書である「落葉集」には「ドクリウ」とあり、また近世期の作品にも「ドクリウ」のかなが付されている。
(2)明治期に多数刊行された漢語辞典を見渡すと、明治二〇年(一八八七)までは「ドクリツ」「ドクリュウ」がともに見られるが、二一年以降刊行のものはすべて「ドクリツ」である。従ってドクリツの読みが一般化したのは明治二〇年以降と考えられる。

どく‐りゅう ‥リフ【独立】

〘名〙 (「りゅう」は「立」の呉音・漢音、「りつ」は慣用音) =どくりつ(独立)
菅家文草(900頃)三・相国東閤餞席「為吏為儒報国家、百身独立一恩涯」
洒落本・売花新駅(1777)発端「江城の未申四こくの辺に〈略〉さる独立(ドクリウ)の宗匠あり」

ひとり‐だち【独立】

〘名〙
① 子どもなどが、助けを借りたりしないで自分の力だけで立ち上がること。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「宮、をかしげにて、ひとりだちし、歩みはじめ給ふほどなり」
② ほかからの援助を受けないで、自分だけの力でやってゆくこと。それまで他の者の下にいた人が、新たに自分自身で事業などを始めること。一本立ち。どくりつ。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一「同等の自主自立(〈注〉ヒトリダチ)の権」
③ 行動をともにする仲間や味方のないこと。ひとりぼっち。孤立。
※玉塵抄(1563)三八「友なうてひとりたちにして名をあらわし功をなすことはない者なり」
④ ひとりずつ立ち去ること。
※今昔(1120頃か)二四「独立ちに皆立て去にけり」
⑤ 他のものとはっきり別になっていること。どくりつ。
※三体詩幻雲抄(1527)「第三句不喚、第四句而述其心也。第三はひとりたちに、第四は自然に来る也」

ひとり‐だ・つ【独立】

〘自タ四〙 (「ひとりだち(独立)」の動詞化) 自分の力だけで立つ。自分の力だけでやって行く。
※土井本周易抄(1477)二「陰の世は独りだつ事は叶まいぞ」

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世界大百科事典内の独立の言及

【確率変数】より

…これをXの分布という。二つの確率変数X,Yは,もしP(X-1(B)∩Y-1(C))=P(X-1(B))・P(Y-1(C))が任意のB,Cについて成り立つとき独立であるという。三つ以上の確率変数についても同様に独立の概念が定義される。…

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