中国史料により唐代初期,チベットの西部にあったとされる国名。大羊同,小羊同の区別があり,『釈迦方志』は大羊同を北に,小羊同を南に位置させているが,『通典』では大羊同の西に小羊同をおいている。一般にチベットでいう「シャン・シュン国」と同一視される。羊同の対音を高原のチャンタン Byang thangと主張する者もいるが,ヤト Ya stod (西方高地の意) とする見方もある。『釈迦方志』は,大羊同をスバルナゴトラの東女国 (『西域記』所伝) と同一視する。吐蕃のソンツェンガンポは初め羊同と連合して兵を動かしたが,のちに吐蕃に併合した。