羽栗翼(読み)はくりのつばさ

朝日日本歴史人物事典 「羽栗翼」の解説

羽栗翼

没年延暦17.5.27(798.6.15)
生年:生年不詳
奈良時代に活躍した官人。氏名は葉栗とも書く。父吉麻呂が学生阿倍仲麻呂の従者として入唐中に,中国人女性との間に生まれた。翔 の兄。天平6(734)年父に従い帰国し,出家して僧となった。朝廷学業が優秀なのを惜しんで還俗させたという。宝亀6(775)年遣唐准判官となり,同7年臣姓を賜った。大外記,勅旨大丞を兼任して入唐した。揚州海陵県に到着したとき,以前に昆解宮成という者が献じた白〓を揚州の鋳工に見せたところ,それがにせ銭作りに使う「鈍隠」であることが明らかになったのは著名な話である。唐から宝応五紀暦経をもたらしたが,習学の人がなかったという。その後,丹波介,内薬正兼侍医,内蔵助を歴任した。

(森公章)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「羽栗翼」の解説

羽栗翼 はくりの-つばさ

719-798 奈良時代の官吏
養老3年生まれ。羽栗吉麻呂の長男羽栗翔(かける)の兄。母は唐(中国)の人。長安で生まれ,天平(てんぴょう)6年(734)父とともに帰国。僧となるが,還俗(げんぞく)し,遣唐使の准判官となり,臣姓をあたえられる。宝亀(ほうき)8年遣唐副使らと唐にわたり,翌年帰国。本草学にくわしく,内薬正(かみ)兼侍医となった。延暦(えんりゃく)17年5月27日死去。80歳。名は「たすく」ともよむ。

羽栗翼 はくりの-たすく

はくりの-つばさ

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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