朝日日本歴史人物事典 「羽栗翼」の解説
羽栗翼
生年:生年不詳
奈良時代に活躍した官人。氏名は葉栗とも書く。父吉麻呂が学生阿倍仲麻呂の従者として入唐中に,中国人女性との間に生まれた。翔 の兄。天平6(734)年父に従い帰国し,出家して僧となった。朝廷は学業が優秀なのを惜しんで還俗させたという。宝亀6(775)年遣唐准判官となり,同7年臣姓を賜った。大外記,勅旨大丞を兼任して入唐した。揚州海陵県に到着したとき,以前に昆解宮成という者が献じた白〓を揚州の鋳工に見せたところ,それがにせ銭作りに使う「鈍隠」であることが明らかになったのは著名な話である。唐から宝応五紀暦経をもたらしたが,習学の人がなかったという。その後,丹波介,内薬正兼侍医,内蔵助を歴任した。
(森公章)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報