羽栗翔(読み)はくりのかける

朝日日本歴史人物事典 「羽栗翔」の解説

羽栗翔

生年生没年不詳
奈良時代の官人。霊亀2(716)年父吉麻呂が学生阿倍仲麻呂の従者として入唐し,中国人女性との間に,翼,翔の兄弟が生まれた。この名前には父の帰国願望が表れているともいわれる。天平6(734)年父と共に帰国した。天平宝字3(759)年在唐の前遣唐大使藤原清河(入唐後の名は河清)を迎えるために遣唐使が準備された際,録事に任命され,帰国する渤海使と共に渤海路をとって入唐。このときの大使高元度は同5年8月に帰国しているが,翔は清河のところにとどまり,帰国しなかった。円仁の『入唐求法巡礼行記』には登州開元寺の西方浄土絵の願主のひとりとしてみえる。

(森公章)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「羽栗翔」の解説

羽栗翔 はくりの-かける

?-? 奈良時代の官吏
羽栗吉麻呂の次男羽栗翼の弟。母は唐(中国)の人。長安で生まれ,天平(てんぴょう)6年(734)父とともに帰国。25年後の天平宝字(てんぴょうほうじ)3年唐にいる藤原清河をむかえるため,遣唐使の一員として唐にわたったが帰国せず,以後の消息は不明。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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