日本大百科全書(ニッポニカ) 「羽毛織」の意味・わかりやすい解説
羽毛織
うもうおり
多彩な色調をもつ鳥類の羽毛を布地の上に並べて綴(と)じ付けたもの。羽毛をそのまま織り込んだものではないが、外観上から羽毛織と称している。各地にみられる織物装飾の原始的手法とみられるが、人間のあこがれである鳥への変身と、実用的には羽毛の撥水(はっすい)性に富んでいることを利用したもので、多くの多彩な羽毛を用いて簡単に装飾できるので、豪華なものが製作された。多くは羽毛の羽軸の部分を糸でくくり、生地に縫い付けるが、日本では和紙をまいて張り付けている。アメリカ・インディアンのものがよく知られ、とくに中央アンデス地帯で古くから用いられている貫頭衣(ポンチョ)のなかには、装飾性に富んだものが多い。日本でも戦国武将の陣羽織(じんばおり)にみられる。
[角山幸洋]