改訂新版 世界大百科事典 「耙労」の意味・わかりやすい解説
耙労 (はろう)
pá láo
中国古来からの農具。耙は耕起した土を粗砕したり,地中の毛細管を地表面で切断するのに使用され,労は土を細砕し,鎮圧して毛細管をととのえるのに使用する。華北の農業は一般に雨水にたよっているため,地中の水分の可能な限りの利用が望ましい。そのため耕起ののち,耙で土を破砕し,次いで労を使用して土を細砕すると同時に毛細管をしめて土中の水分を上昇させる作業を繰り返す。すなわち耕→耙→労→耙→労の繰り返し作業をするわけで,労耙作業は回数が多いほどよいという。労作業は最初は木槌(耰(ゆう))で砕土していたが,漢代ころには柴,木枝をたばね石を置いた撻が使われ,しだいに,図にみるような労,磟碡(ろくどく)などが使用されるようになった。耙はかなり長い間,日本の熊手のような形式のものが使用され,人字耙・方耙に進んでいったもので,《斉民要術》で新鋭農具のごとくみられる〈鉄歯榛(ろうそう)〉は後者の類であろう。
→農具
執筆者:米田 賢次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報