熊手(読み)クマデ

デジタル大辞泉の解説

くま‐で【熊手】

長い柄の先に、竹製の、熊の手のように曲がったつめ状のものを扇形につけた道具。落ち葉や穀物などをかき集めるのに用いる。くまでぼうき。
1に宝船・大判・小判・千両箱・おかめの面などを飾りつけたもの。福をかき集める意味の縁起物として、酉(とり)の市で売られる。 冬》
熊の手を思わせる鉄製のつめを、長い柄の先につけた道具。武器や船の備品としても利用された。
欲の深いことのたとえ。また、その人。欲張り。
「―よ欲よと言はるるも口惜しし」〈浄・淀鯉

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世界大百科事典 第2版の解説

くまで【熊手】

割竹や細い鉄棒の先端を鉤形に曲げ,これを熊の手のように扇形に結わえ竹などの柄をつけた用具。《百姓伝記》では性のよい竹を人差指ほどに太く削り長さ1尺3,4寸ほどにして先を曲げ,間2寸ほどに6本も8本も並べて編んで作るとある。また《農具便利論》では熊手の効用として,ごもく()を搔き起こすのを主に,ナスやつる物の類の根を搔きあさり,土を和らげ,肥やしを入れ,水を引くのにちょうほうなものとある。熊手は掃除用具ばかりでなく,農具としてもまた武器,縁起物としても使われた。

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大辞林 第三版の解説

くまで【熊手】

長い柄の先に、熊の手のような先端を爪状に曲げた細い竹を何本もつけた道具。落ち葉などをかき集めるのに使う。
竹で作った熊手に、おかめの面や小判・枡ますなどをつけたもの。酉とりの市いちで売る。お金や幸福をかき集めるという縁起のよい飾り物。 [季] 冬。 《 病む人に買うてもどりし-かな /虚子 》
長い柄の先に鉄の爪数個をつけたもの。水上では舟や浮遊物などを引き寄せる舟道具、戦場では敵を馬から引き落とし、盾や塀を引き倒し、あるいは高所に登る際に用いる武具。また、相手を取りおさえるのに用いる捕り物道具。
欲張りな人のたとえ。 「 -よ、欲よと言はるるも口惜しし/浄瑠璃・淀鯉

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

熊手
くまで

山で冬季に肥料・燃料用の落ち葉をかき集めたり、収穫した穀物を天日で干すのに莚(むしろ)の上に広げたり、清掃に使う竹製の道具。縁起物にもなっている。割り竹の先端を鉤(かぎ)形に曲げ、それを十数本細縄で編んで竹の柄(え)をつけたものであるが、用途によって割り竹の太さと編む間隔が異なっている。縁起物の熊手は、正月の初詣(はつもう)でや節分にその模型が授与されたり、東京・浅草の鷲(おおとり)神社などの11月の酉(とり)の市に、桝(ます)やおかめの面を熊手につけ、福徳をかき集めるということで売られるのが有名である。西日本では熊手をこくばかき、こくまかきなどというが、こくば、こくまは松葉のことで、これが熊手の語源と考えられる。古くは武具としての鉄製の熊手もあった。[小川直之]

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精選版 日本国語大辞典の解説

くま‐で【熊手】

〘名〙
① 熊の手を連想させる鉄の爪を棒の先につけた長柄の道具。物をひっかけるのに用いる。舟の備品や武器としても利用された。現在では、土地の開墾やどぶさらい、また、ごみなどをかきよせるのに用いる。鉄搭(てっとう)
※吾妻鏡‐元暦二年(1185)三月二四日「建礼門院 藤重御衣 入水御之処、渡部党源五馬允、以熊手之」
※読本・南総里見八犬伝(1814‐42)五「町進が衿上へ、抓子棒(クマデ)を楚(しか)とうち被(かけ)て、仰(のけ)ざまに引落しつつ」
② 竹の先端をかぎ形に曲げ、くしの歯のように並べたものに長い柄をつけたもの。落ち葉や穀物などをかき集めるのに用いる。くまでぼうき。
※八帖花伝書(1573‐92)六「高砂、当流はくまでをもつ。〈略〉かけども落葉のつきせぬはといふ時は、くまで、尤に候」
(とり)の市に売り出される、福徳をかき集めるという竹製の縁起物。東京都台東区にある鷲(おおとり)神社をはじめ、各地の神社で売り出され、宝船、おかめの面、小判、ますなどの模型をつけて売られる。《季・冬》
※雑俳・川傍柳(1780‐83)五「ちっぽけな熊手買ほど屓け残り」
④ (①②が物をかき集める道具であるところから) ひじょうに欲の深い人をたとえていう。欲張り。強欲者。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)五「私が申事は欲が深いの熊手(クマデ)じゃのと、お聞入なされませぬが」

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世界大百科事典内の熊手の言及

【縁起物】より

…この宝船にはよく近世の流行神(はやりがみ)の典型である七福神をのせているが,それは幸は海上の彼方からやってくるという海上他界の観念に基づくものである。11月酉(とり)の日,東京の鷲(おおとり)神社の酉の市で売られる熊手は,穀物をかき寄せるものであるが,穀霊を人間の霊魂と一体化して考え,霊(たま)をかき寄せ人間の再生をもたらし幸運を得る縁起物とされたのである。【岩井 宏実】。…

【雁爪】より

…熊手,田熊手などとも呼ばれる。備中ぐわの柄を短くしたような水田の中耕用農具。…

【手】より

…ヒグマは秋に穀果を多くとって肥え,手掌にみつなどの食物を塗り,冬眠中にこれをなめるなどといわれるが,料理に利用されるのは皮下脂肪だけである。東京など各地の〈酉(とり)の市〉が扱う熊手は,落葉などをかき集める竹製の道具の模型を飾りたてたもので,1年間の福をかき集め繁盛を願う室内装飾品だが,もとは鉄のつめをもつ武器だった。マルファン症候群の患者などに〈蜘蛛(くも)指〉という指の長い手を見るが,指を蜘蛛の長脚にたとえた名称である。…

【酉の市】より

…この祭りを〈酉のまち〉〈おとりさま〉などともいう。露店で縁起物の熊手などが売り出されることで有名。鷲神社は武運長久の神として武士にも信じられたが,庶民の間では商売繁昌・開運の神として信仰されてきた。…

※「熊手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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