華北(読み)かほく

精選版 日本国語大辞典 「華北」の意味・読み・例文・類語

か‐ほく クヮ‥【華北】

中国北部の通称。ほぼ黄河中・下流域をさし、北京市、天津市、河北山西各省内モンゴル自治区を含む。殷文化発生の地。

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デジタル大辞泉 「華北」の意味・読み・例文・類語

か‐ほく〔クワ‐〕【華北】

中国中北部、黄河の中・下流域の地方河北山西山東河南の四省に渡る地域。古来中原ちゅうげんの地とよばれ、政治・文化の中心。ホアペイ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「華北」の意味・わかりやすい解説

華北
かほく / ホワペイ

中国北部の地区名。従来は北京(ペキン)、天津(てんしん/ティエンチン)両市と河北(かほく/ホーペイ)、山西(さんせい/シャンシー)、山東(さんとう/シャントン)、河南(かなん/ホーナン)の4省にわたる地域を華北とよんだが、新中国成立後の六大地域区分では河南省は中南区に、山東省は華東区に含まれ、残余の地域に内モンゴル自治区を加えたものを華北区とよぶ。

 従来の華北は黄河(こうが/ホワンホー)中流部以東の黄土(こうど/ホワントゥー)高原と、黄河などの河川の運ぶ黄土が二次的に堆積(たいせき)(次成黄土)、陸化した華北平原(黄淮海(こうわいかい/ホワンホワイハイ)平原)を主体とし、東に山東丘陵が横たわる。平野部は小麦、ワタ、コウリャン、大豆、タバコ、ゴマ、ラッカセイなど、黄土高原上は雑穀とワタを産する。また埋蔵量では中国第1位の山西省をはじめ各省とも石炭が豊富である。さらに大港、華北、勝利、中原(ちゅうげん)、南陽など平野部では石油資源も豊富で、渤海(ぼっかい/ポーハイ)でも石油の開発が進んでいる。鉄の埋蔵も各地にみられ、製鉄、石油化学工業のほか各種機械の生産も盛んである。内モンゴル自治区はモンゴル高原上にあり、大興安嶺(だいこうあんれい/ターシンアンリン)を含む。もとはモンゴル族の遊牧地であったが、現在は五原地方や南東部は農業地域化し、また霍林河(かくりんが/フオリンホー)、伊敏河(いびんが)、ジュンガル、東勝などの大炭鉱やエレンの石油、バインオボの鉄など地下資源に富む。塩湖の塩、ソーダを利用する化学工業のほか重化学工業、毛紡織工業、肉・乳加工業などが発達。古都北京、洛陽(らくよう/ルオヤン)、開封(かいほう/カイフォン)をはじめ邯鄲(かんたん/ハンタン)など歴史的都市が多く、安陽の殷墟(いんきょ)、鄭州(ていしゅう)の商代遺跡、満城漢墓、山東の画像石、大同の雲崗石窟(うんこうせっくつ)、周口店(しゅうこうてん)の北京原人洞窟など遺跡にも富む。

[河野通博]


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百科事典マイペディア 「華北」の意味・わかりやすい解説

華北【かほく】

中国本土の万里の長城以南,淮河(わいが)・秦嶺(しんれい)以北の地域で,黄河とその支流流域を中心とする。北京・天津両市と河北,河南,山東,山西の4省を指すことが多い。しかし現代中国の地区名としては,一般には北京,天津の両市と河北,山西両省および内モンゴル自治区を含む一帯を指す。中国文化の発祥地。気候は乾燥して降水量乏しく,このため畑作農業を中心とするが,過去しばしば干害に悩まされた。東部は鉱工業や交通も発達するが概して良港に乏しい。〈南船北馬〉といわれるように,湿潤地帯の華中華南と生活様式に著しい差異を示す。
→関連項目函谷関魏晋南北朝時代中華人民共和国二里頭遺跡六朝文化良渚文化

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改訂新版 世界大百科事典 「華北」の意味・わかりやすい解説

華北 (かほく)
Húa běi

中国の大地域名。万里の長城以南,大別山脈以北の広義の黄河中・下流域のうち北京,天津両市と河北,山西,山東,河南4省に属する地域を指すことが多く,日本では今もこの範囲を華北と呼ぶ。しかし中国では1949年から54年までは河北,山西,綏遠(すいえん),チャハル(察哈爾),平原などの省と北京,天津両市を管轄する大行政区名に用いられ,また今は北京・天津両市と内モンゴル自治区,河北・山西両省にわたる経済協作区名である。
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