聖墳墓(読み)せいふんぼ[エルサレム](その他表記)Holy Sepulchre, Jerusalem

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖墳墓」の意味・わかりやすい解説

聖墳墓[エルサレム]
せいふんぼ[エルサレム]
Holy Sepulchre, Jerusalem

ヨハネによる福音書』によればキリストはゴルゴタの丘の上の十字架上で刑死したのち,弟子たちの手によって墓に納められ,3日後復活した。 326~327年頃エルサレム市中の岩をくりぬいた墓窟の一つがこの墓であるという伝承が定まり,コンスタンチヌス大帝はこの墓を切出し,円錐状の石碑とし,これを飾ってキリストの受難の復活の記念碑とした。同時に隣接して壮大なバシリカ聖堂が建てられたが (シリア人ゼノビウスと司教エウスタチオスによる。 336献堂) ,この聖堂の敷地はゴルゴタの丘を含み,母后ヘレナによってそこで発見された「真の十字架」の聖遺物が内陣下に納められた。さらにその西にいわゆるカルワリオの岩と,上述の聖墳墓の岩が置かれた。大帝の晩年あるいは没後に聖墳墓上に大規模な円堂が建てられ復活聖堂と呼ばれ,その後幾世紀にもわたり,何千万という巡礼を引寄せ,また東西ヨーロッパの中世建築に大きな影響を及ぼした。現在のバシリカは 12世紀,円堂は近代のものである。

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世界大百科事典(旧版)内の聖墳墓の言及

【十字軍】より

…精神的指導者として聖職者(司教,司祭),修道士,民間説教師が付き添い,非武装の巡礼の護衛者として諸侯,騎士,歩卒の軍団が配属され初期の十字軍遠征隊が編成された。
【公式十字軍の発動】
 エルサレムはユダヤ教,キリスト教,イスラムの共通の聖地であり,とくにキリスト教徒はこの都を〈キリスト受難〉の地として諸巡礼地のうち最高の聖域とみなし,その地のキリストの〈聖墳墓〉の解放を十字軍の最終目標にかかげた。このため中世の史料は十字軍を〈エルサレムもうで〉〈聖墳墓参り〉などと記録している。…

※「聖墳墓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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