職業的レリバンス(読み)しょくぎょうてきレリバンス

大学事典 「職業的レリバンス」の解説

職業的レリバンス
しょくぎょうてきレリバンス

職業レリバンスとは,教育と職業との移行・接続において,単に卒業直後の就職・無業を問うだけでなく,その後の職業生活において教育が職業的に意味あるものとなっているか否かという観点まで含めて問うものである。近年,学卒就職問題の深刻化,フリーターなどその質や長期的な視点が問題になってきている。就職や無業,就業上の地位など客観的な適切さも当然ながら,大学知が職業的コンピテンシー形成やその基盤として適切だったかどうか,主観的な評価も含めて議論されるわけである。日本的な大卒者の就職後の一定期間にわたる初期キャリア形成モデルを想定するとき,どの段階で職業的レリバンスを把握するのか,大卒者の初期キャリア形成の実態把握が必要となる。吉本圭一ら(2010年)の研究によれば,日本の大企業において5年程度の期間,大卒者にふさわしい業務というよりも,その後に管轄する現場を知悉させるための研修的な配属事例などが報告されており,その場合にはそうした初任研修段階を終了した段階での職業的レリバンスの吟味が適切と考えられる。
著者: 吉本圭一

参考文献: 吉本圭一編『柔軟性と専門性―大学の人材養成課題の日欧比較』高等教育研究叢書109,広島大学高等教育研究開発センター,2010.

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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