肺MAC症(読み)はいまっくしょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肺MAC症
はいまっくしょう

非結核性抗酸菌症の一つ。結核菌とらい菌以外の抗酸菌を非結核性抗酸菌と総称し、この菌が引き起こす感染症を非結核性抗酸菌症という。そのなかでマイコバクテリウム・アビウム・コンプレックスMycobacterium Avium Complex(MAC)を原因菌とする、慢性の肺疾患を肺MAC症という。肺マック症とも表記する。咳(せき)や痰(たん)が数か月続くのが特徴で、咳に付随して胸痛や胃痛を伴うこともある。近年増加の傾向にあり、とくに気管支拡張型に分類される肺MAC症が中高年女性に多くみられる。
 MACは水のある環境、土中、動物の糞便(ふんべん)中など身近な環境に広く存在し、これが体内に取り込まれて発症するが、人から人への感染はない。菌自体の感染力は弱いが、免疫力が減退していると感染の危険が高まるとされている。感染しても無症状に経過することもあり、また感染後5~10年経過してから発症することもある。胸部X線写真では結核と類似した像がみられ見分けがつかないため、痰に含まれる細菌の遺伝子検査によって特定されることが多い。治療は抗菌薬を複数組み合わせる化学療法が中心である。しかし菌が広く存在することから繰り返し感染することが多いため、完治はむずかしいとされている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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