(読み)しょ

普及版 字通 「胥」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音] ショ・ソ
[字訓] たすける・ともに

[説文解字]

[字形] 形声
声符は疋(しよ)。疋に佐胥の意がある。〔説文〕四下に「蟹(かに)の(かい)なり」とあり、蟹胥(かいしよ)の意とするが、その字は蛋(たん)。金文に「左疋」「左胥」の語があり、胥は疋の繁文と見てよい。〔詩、小雅、桑〕「君子樂胥す(楽しむ)」の〔伝〕に「皆なり」、〔箋〕に「才知るの名なり」とあり、馬瑞辰の〔伝箋通釈〕に嘉の意であるとする。〔詩、魯頌、有〕に「于(ああ)胥樂す」とあって、胥楽は同義とみるべく、胥はおそらく「豫」の豫などと近い語であろう。古い用義法で、他に例はない。のち胥吏の意に用いる。〔周礼、天官、人、注〕に、四時の好羞の一として、青州の蟹胥をあげている。

[訓義]
1. たすける。
2. みる、みさだめる。
3. ともに、みな、たがいに。
4. かにのしおから。
5. と通じ、とおい、うとい、しばらく。
6. 須と通じ、まつ。
7. と通じ、こがしら、小役人。

[古辞書の訓]
名義抄〕胥 アフ・マツ・マス・ミナ・ヲサ・マウク・クビホネ・ソムク・シシヒシホ・ホロブ 〔字鏡集〕胥 シシヒシホ・ホロブ・マウク・ソムク・クビホネ・カヘス・タモツ・ヲサ・アフ・ミル・ミツ・マツ・アヘテ・マス・モトオホイナリ・サトノヲサ

[声系]
〔説文〕に胥声として壻・など九字を収める。は〔説文〕三上に「知るなり」と訓し、は酒を(こ)すことをいう。これらの訓と胥の声義との関係は知りがたいが、おそらく疋・の声と関係があろう。

[語系]
胥・syaは同声。壻sieもその声が近い。倩tsiengは美士をいう語で、壻と関係があろう。胥声の字は、また疋・shiaと声義の関係をもつようである。胥は疋がその初文、佐胥をその本義とする字である。胥に「まつ」の訓があるのは、須・需sioと声が通ずるのであろう。

[熟語]
胥役胥怨胥魁胥虐胥史・胥車胥胥・胥胥鈔・胥人胥成胥徒胥蠹胥靡胥附胥余・胥吏・胥里胥隷
[下接語]
役胥・燕胥・華胥・蟹胥・赫胥・咨胥・徒胥・扶胥・楽胥・吏胥・閭胥・淪胥

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【胥吏】より

…中国,とくに唐・宋以後官僚機構を実際に支えた事務処理者の総称。〈胥〉とは《周礼(しゆらい)》では庶人が官司に出て使役される者をいう。また中国では時代がさかのぼるほど官と吏の溝は小さかったが,秦・漢以降,〈刀筆の吏〉といった言葉があるように,しだいに吏は庶民が,官は選良がつくという傾向が生じた。…

※「胥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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