脊髄血管の解剖

内科学 第10版 「脊髄血管の解剖」の解説

脊髄血管の解剖(脊髄の血管障害)

(1)脊髄血管の解剖
 図15-5-26Aに示すように,脊髄動脈前面を縦走し脊髄腹側2/3の領域を灌流する1本の前脊髄動脈と背面の傍正中帯を縦走し脊髄背側1/3を灌流する2本の後脊髄動脈からなる.また前脊髄動脈は1本のために閉塞が直ちに脊髄梗塞という臨床症状を惹起しやすいが,後脊髄動脈は2本あるので1本の閉塞では容易に脊髄梗塞に陥りにくいことが解剖学上の特徴である.前脊髄動脈へ流入する血管には個体差があり,その数は6~10本のことが多い.流入血管の内で最大のものはAdamkiewicz動脈で(図15-5-26B),その75%はTh9〜12から,15%はTh5〜8の高位から,10%はL1またはL2の脊髄根とともに脊髄に流入する.脊髄円錐部には前脊髄動脈と後脊髄動脈とを結ぶ吻合血管がある.[阿部康二]
■文献
後藤文男,天野隆弘:臨床のための神経機能解剖学,pp122-123,中外医学社,東京,1992.
Shephard RH: Spinal arteriovenous malformations and subarachnoid haemorrhage. Br J Neurosurg, 6: 5-12, 1992.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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