日本大百科全書(ニッポニカ) 「自助社」の意味・わかりやすい解説
自助社
じじょしゃ
初期士族民権を立志社に次いで代表する、徳島の自由民権政社。1874年(明治7)旧藩時代に大参事を務めた小室信夫(こむろしのぶ)、井上高格(たかのり)らが首唱して設立された。当初は徳島士族の自助自立を促し、新聞紙縦覧所を設け、法律を講究した。翌75年愛国社創立に参加し、区戸長公選の建議、民会設置要求などで県内外にその名を知られ、社員は1000名を数えた。しかし、「立憲政体漸立の詔(みことのり)」を解説して刊行した「通諭書」が危険視され、井上社長以下幹部数名が国事犯として下獄、以来、衰退を余儀なくされた。西南戦争期に政府募兵に応じて報国集合の気勢をあげたが、しだいに負債がかさみ、再建もならず、78年廃社に至った。
[正木明子]