内科学 第10版 「自律神経系のみかた」の解説
自律神経系のみかた(神経疾患患者のみかた)
瞳孔反応以外に,臨床的に留意すべき自律神経系の症候としては,起立性低血圧,排尿・排便障害,性機能障害,発汗障害,皮膚の栄養障害などがあげられる. 起立性低血圧(orthostatic hypotention)の評価には,血圧と脈拍をモニターしながらtilting table(傾斜台)を用いて仰臥位から起立位に姿勢を変える.その結果,起立後3分までに収縮期で30 mmHg,拡張期で15 mmHg以上の血圧低下がみられれば,起立性低血圧があると判断する.血圧低下に伴う脈拍の増加が認められなければ,神経原性の起立性低血圧と考える. 排尿障害(dysuria)は蓄尿障害と排出障害に大別される.問診で排尿回数(日中で8回以上,夜間で2回以上を頻尿とする),排尿開始の困難感,残尿感の有無,尿失禁の有無とその性質を確かめ,神経因性膀胱の有無とタイプを推定する.障害部位の特定と治療薬の選択には,ウロダイナミクスによる詳細な評価が必要になる.[西澤正豊]
■文献
水澤英洋,宇川義一編著:神経診察:実際とその意義,中外医学社,東京,2011.水野義邦編:神経内科ハンドブック 鑑別診断と治療 第4版,医学書院,東京,2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報