正常人では1日の排尿回数は6~7回である。それ以上に排尿回数の増加したものを頻尿といい、種々の原因によっておこる。尿量増加すなわち多尿のためおこる疾患として、糖尿病、尿崩症、腎(じん)不全などがある。感染による刺激によって頻尿をおこすものに、膀胱(ぼうこう)炎、前立腺(ぜんりつせん)炎などがある。また、結核性膀胱炎、放射線膀胱炎では膀胱そのものが小さくなっているために頻尿となる。神経因性膀胱のある型では反射性の膀胱収縮がしばしばおこるために頻尿をおこす。この現象は、膀胱内に腫瘍(しゅよう)や結石ができたときにもみられる。膀胱外からの圧迫によるものでは、妊娠子宮のほか、子宮、卵巣、直腸の腫瘍(しゅよう)がある。なお、前記の器質的疾患がないにもかかわらず精神的におこる神経性頻尿では、頻尿は日中だけで夜間就眠時はみられないのが特徴である。
[土田正義]
排尿回数が増加すること。正常健康者では,1日排尿回数は通常4~5回,その排尿間隔は4~6時間で,夜間就眠中は排尿がなく,あってもせいぜい1回である。この排尿回数を超えて排尿が生ずれば頻尿といってよい。夜間における頻尿をとくに夜間頻尿といい,心不全,前立腺肥大症などの初期症状として臨床的に重要である。頻尿の原因としては,(1)尿量の増加(水分過剰摂取,尿崩症,糖尿病,原発性アルドステロン症),(2)膀胱利尿筋の反射の亢進(膀胱炎,神経因性膀胱),(3)膀胱容量の減少(器質的なものとして膀胱結核,間質性膀胱炎,放射線性膀胱炎,膀胱癌浸潤などによる萎縮膀胱,機能的なものとして神経因性膀胱),(4)神経性頻尿などがある。尿検査,膀胱鏡検査,腎盂(じんう)撮影などを主体として上記疾患の診断を行う。治療は,そのもととなった疾患によって異なるが,膀胱容量が減少した場合には膀胱拡大術が行われる。
→尿
執筆者:小磯 謙吉
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出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
…脳の中枢は膀胱の無意識な収縮を抑制する作用があるため,脳出血や脳動脈硬化症などでこの中枢が障害をうけると,膀胱はわずかの刺激で収縮し尿をもらしてしまう(尿失禁)。このため排尿回数は増加(頻尿)し,1回の排尿量は減少する。これを無抑制性神経因性膀胱と呼ぶ。…
… 健康成人の1日当りの尿量は1~1.5lであり,排尿回数はふつう4~6回である。排尿回数が増加した場合は頻尿と呼ばれる。1日当りの尿量が2~2.5l以上の場合は多尿といい,一方,1日の尿量が0.4~0.5l以下を乏尿,0.1l以下を無尿と呼ぶ。…
※「頻尿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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