日本大百科全書(ニッポニカ) 「舩山信一」の意味・わかりやすい解説
舩山信一
ふなやましんいち
(1907―1994)
哲学者。山形県出身。京都帝国大学哲学科を卒業。ヘーゲル『精神哲学』を訳し、のち1930年代に唯物論研究会、プロレタリア科学同盟に参加し、マルクス主義哲学の代表的論客の一人になった。治安維持法違反のかどで逮捕されたのち、マルクス主義から離れる。1955年(昭和30)に立命館大学教授となり、1976年に退職、同名誉教授になる。哲学的には、とくにフォイエルバハの唯物論の現代的意義を強調して、人間が根源的に肉体であることを重視する。客観主義的唯物論でもなく、主体的唯物論でもない「人間学的唯物論」を自ら提唱した。ヘーゲル、フォイエルバハ、近現代日本哲学史の研究ならびに『フォイエルバッハ全集』の訳者としての功績が大きい。
[芝田進午 2016年9月16日]
『『フォイエルバッハ全集』全18巻(1973~1976・福村出版)』