日本大百科全書(ニッポニカ) 「航空消防」の意味・わかりやすい解説
航空消防
こうくうしょうぼう
陸上および水上消防をより拡充するため空から行う消防活動をいう。近年では欧米諸国や日本でも航空機の機動性を十分活用し、空からの消火活動、救急患者の搬送、人命救出・救助、警戒、情報の収集、人員・物資の輸送業務などに、航空機の果たす役割は大きい。とくに陸上交通が遮断されるような大規模な地震災害では、高速性、機動性などヘリコプターの特性が幅広く発揮されている。日本で初めて航空消防が開始されたのは、1966年(昭和41)に東京消防庁が航空隊を発足させ、翌年4月ヘリコプター1機(愛称「ちどり」、フランス製アルウェットⅢ型機)を導入したのが始まりである。2011年(平成23)4月時点で、消防・防災ヘリコプターは、消防機関保有のものが32機、道県保有のものが38機の計70機が配備されており、救急出場、救助出動、火災出動で活躍している。未配備県域は佐賀、沖縄の2県となっている。
[窪田和弘]
『月刊「Helicopter JAPAN」編集部編『全国消防・防災航空隊資料集』(1999~2002・タクト・ワン)』▽『消防庁編『消防白書』各年版(ぎょうせい)』