船形埴輪(読み)ふながたはにわ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船形埴輪」の意味・わかりやすい解説

船形埴輪
ふながたはにわ

大阪市平野区長吉,大和川北岸の沖積地にある長原遺跡は,複合遺跡で,遺跡内には多数の古墳があり,1987年の調査で1号墳・2号墳 (5世紀前半の円墳) 周溝より船形埴輪 (はにわ) が出土した。1号墳出土の船形埴輪は,丸木舟の舟底に舷側板を追加した準構造船 (縫合船) をかたどり,底部2ヵ所に台座を造り付けて,西都原古墳群出土埴輪に似る。2号墳出土埴輪は,全長 128.5cm,国内出土の船形埴輪中最大。丸太を刳 (く) り抜いた船底部と上部の二重構造を立体的に表現,船首・船尾ともに船底端部が衝角状に突出する。類似の埴輪は,大阪府菩提池西遺跡,京都府ニゴレ古墳からも出土しており,韓国湖林美術館蔵の船形形象土器もこれに近い構造を示す。また大阪府久宝寺南遺跡で出土した準構造船 (3世紀後半) と酷似する。これらは初期の準構造船の実態を知る好資料で,不明な点が多い刳船から構造船への過渡期の様相を明らかにした。 89年には2号墳埴輪をもとに準構造船を復原,韓国への渡航実験を行なった。

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