台座(読み)ダイザ

デジタル大辞泉 「台座」の意味・読み・例文・類語

だい‐ざ【台座】

物を載せておく台。
仏像肖像彫刻などを安置する台。仏像の台座としては須弥しゅみ座・蓮華れんげ座・禽獣きんじゅう座など多様な形式がある。

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精選版 日本国語大辞典 「台座」の意味・読み・例文・類語

だい‐ざ【台座】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物をその上にのせておく台。
    1. [初出の実例]「このよにたてたるそとはは、おなじたいさになをったるがごとくなり」(出典:説経節・説経苅萱(1631)下)
    2. 「台座(タイザ)を改めさせ御覧ありしに、一つの折紙あって」(出典:浮世草子・本朝桜陰比事(1689)一)
  3. 仏像を安置しておく台。その形によって、蓮華をかたどった「蓮華座」、須彌山(しゅみせん)をかたどった「須彌座」、岩をかたどった「岩座」、鳥獣をかたどった「鳥獣座」などがある。また、仏を人中の獅子と称するところから、「獅子の座」ともいう。
    1. [初出の実例]「世界をば台座(ダイザ)か富士の雪仏〈昌意〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)六)
  4. ( 胴体をのせておく台の意 ) 尻をいう。
    1. [初出の実例]「脳頭(のうとう)からだいざ迄、唐竹割じゃ」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)六)
  5. ( 首をのせておく台の意 ) 胴体をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「台座」の意味・わかりやすい解説

台座 (だいざ)

仏像彫刻を安置するための台で,像がその上に座し,臥し,あるいは立つものをいう。古くは仏座といい,また金剛宝座,金剛座とも呼ぶ。これは仏の座すところはいかなる悪魔外道もこれを侵すことができない堅固な座であるという意である。釈迦成道の地,インドのブッダガヤーの菩提樹下には,釈迦の座としての金剛宝座のみが安置される。また獅子座といって,獅子の彫刻をその前面にあらわすものがある。これは釈迦族の獅子とよばれた釈迦を象徴するものであり,同時に説法獅子吼(ししく)した釈迦を象徴するものであろう。台座の古い形式は方形の座であるが,蓮華をもって仏座とすることもインド以来の伝統である。

 台座の概要を記すと以下のようである。(1)須弥座(しゆみざ) 須弥山を象(かたど)るといい,天板(上床部),框(かまち)(基底部)とも長方形で,請花(うけばな),反花(かえりばな)を有し,軸部(胴部)は細く長方形の立体を示す。その形が〈宣〉の字に似るところから宣字座ともいう。法隆寺釈迦三尊像の台座などにもみられ,日本の仏座の最古の形式である。(2)蓮華座 蓮座ともいい,最も普遍的な仏座であるが,その形式は多様である。まず蓮弁の葺き方に魚鱗式と吹寄せ式(蓮弁の中心線が上下一直線に並ぶ)の2種があり,蓮華座を構成する各部,すなわち蓮華,上敷茄子,華盤,下敷茄子,受座,反花,蛤座,上下框座を積み重ねるが,その重ねの数によって五重座,七重座,九重座と称される。最も簡単な蓮華座は,上部仰蓮と下部反花,下部框座から構成されるもので,東大寺大仏の座に因んで,大仏座と呼ぶ。立像倚像にあっては,足下に各1輪ずつ蓮華座を有するものがあり,左右に踏みわけることから踏割(ふみわり)蓮台と呼ばれる。ほかに蓮華の下に白雲をあしらった雲座(くもざ)がある。来仰図などの絵画表現が彫刻化されたものである。また蓮の葉を象った台座を荷葉座(かしようざ)といい,主として天部像などに用いられる。(3)岩座(いわざ) これは岩石の形に造った台座で,朽木を岩に見立てて用いることもあり,朽木座の称もある。岩座の系統に属するものに洲浜座や瑟瑟座(しつしつざ)がある。瑟瑟座は珠玉を指す。岩石の凹凸を角材を井桁に組んで装飾化し,各材の木口には繧繝(うんげん)彩色が施される。(4)禽獣座 鳥や獣を蓮台の下にあしらって構成する台座で,宝冠阿弥陀五尊や孔雀明王の孔雀座,梵天の鵝鳥座,文殊菩薩の獅子,普賢菩薩の六牙象などが知られ,大威徳明王は牛にまたがる。また邪鬼や生類を踏む生霊座(しようりようざ)がある。四天王は邪鬼を,降三世明王は大自在天と烏摩妃(うまひ),兜跋毘沙門天(とばつびしやもんてん)は地天と尼藍婆,毘藍婆などを踏む。これら禽獣座の下には隅足のついた方座(框座ともいう)を付属することが多い。(5)その他の台座 塼仏(せんぶつ),繡仏,壁画などでは宝座の後方に背もたせ用の後屛のついたものがあるが,彫像で現存するものはない。禅宗僧侶の肖像にこれに似た牀座(しようざ)があり,また曲彔(きよくろく)なども用いられる。ほかに礼盤座や半畳座,上畳座,獣皮座,草座などがある。
須弥壇 →仏像
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百科事典マイペディア 「台座」の意味・わかりやすい解説

台座【だいざ】

仏像を安置する台で,仏像を神聖化する荘厳具(しょうごんぐ)の一つ。蓮華(れんげ)をかたどった蓮華座と須弥山(しゅみせん)をかたどった須弥座が多い。須弥座は,形が〈宣〉の字に似ているため宣字座ともいい,また本尊の衣(ころも)が前面にたれるので裳懸(もかけ)座とも称する。ほかに,岩をかたどった岩座,鳥や獣をかたどった禽獣(きんじゅう)座など種々ある。
→関連項目鎌倉彫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「台座」の意味・わかりやすい解説

台座
だいざ

仏像を載せる台。仏像の荘厳具で,時代や仏像の種類,材質により形式が異なる。須弥山 (しゅみせん) を象徴する須弥座 (胴部が細く宣の字に似ることから宣字座ともいう) ,仏像の裳が前面に大きく垂れた裳懸座 (もかけざ) ,周辺に蓮弁をふいた蓮華座,岩石の形をした岩座,不動明王に特有な形式である長方形の柱を井桁 (いげた) に組んだ瑟々 (しつしつ) 座,洲浜 (すはま) の形をした洲浜座,簡単な形式の方座,牀几 (しょうぎ) のような形の牀座,礼盤の形をした礼盤座,鳥獣が台になった鳥獣座 (禽獣座,鬼形の場合には邪鬼という) ,荷葉 (かしょう) 座,框 (かまち) 座,方座に獅子を配した獅 (師) 子座などがある。

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普及版 字通 「台座」の読み・字形・画数・意味

【台座】たいざ

三公。

字通「台」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「台座」の意味・わかりやすい解説

台座
だいざ

荘厳具

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世界大百科事典(旧版)内の台座の言及

【仏像】より

…しかし,ヤクシャ(薬叉,夜叉),インドラ(帝釈天),ラクシュミー(吉祥天)などのインドの神々は仏教の守護神として紀元前から製作されているが,仏陀像はもとより菩薩や高僧の像も釈迦の死後数百年間は表現されず,信者が礼拝対象としたのは釈迦の遺骨を納めたストゥーパであった。また釈迦の事跡を描いた仏伝図では,菩提樹,台座,足跡,法輪その他で仏陀の存在を示唆するという不便な方法をとり,主役の仏陀を表現することはまったくなかった。この伝統を破ってはじめて仏陀の姿を表現したのは,紀元後100年ころにガンダーラ地方において,次いでマトゥラーにおいてであった。…

※「台座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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