芝郷(読み)しばごう

日本歴史地名大系 「芝郷」の解説

芝郷
しばごう

現芝を中心に、現蕨市や現浦和市の一部を含む地域に比定される中世の郷。羽尽はぞろ神社に伝来した建武二年(一三三五)三月一五日の年紀がある銅鏡(秋草双雀鏡)銘文には「足立郡芝阜社 号羽尽此云波曾呂比大明神 乃羽明玉神也」とある。また文明九年(一四七七)閏正月六日に鑁阿ばんな(現栃木県足利市)に納められた坂東巡礼納札には「足立郡芝丘郷蕨村 助三郎 助二郎 彦二郎」とある(武蔵史料銘記集)。慶長五年(一六〇〇)一二月二五日「芝阜ノ野寺」(長徳寺)が火災に遭っている(寒松稿)。これらのことから推測すれば、芝郷は芝丘しばおか(芝阜郷)ともよばれ、そこに所在する羽尽神社は郷名にちなんで芝阜しばおか社と称されたと思われる。応安七年(一三七四)二月六日、二階堂出羽入道道簾の妻の藤原氏は父の駿河入道忻恵(二階堂行春か)から足立郡芝郷内地頭職のうち彦部近江守跡の女子方を譲与されている(年未詳一二月三日「鎌倉公方足利氏満挙状」秋元興朝氏所蔵文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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