花王以来の花伝書(読み)かおういらいのかでんしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「花王以来の花伝書」の意味・わかりやすい解説

花王以来の花伝書
かおういらいのかでんしょ

日本最古の花書。作者不詳。内容は「葉嫌枝之事、松ニ不限」と巻首に記した秘文に始まり、「土用花」の秘文と花形絵が続き、40以上の花に関する秘文と花形図を記している。奥書には末尾に、花王以来、秀誠(しゅうせい)に至る相伝の系譜者名を並べているが、本巻はおそらく1499年(明応8)に秀誠が相伝したものを、最後に立蔵坊(りつぞうぼう)が「校訖(こうおわる)」と書いているように、立蔵坊という者が書写したものと考えられる。なお『花王以来の花伝書』は後人のつけた名称である。花論など『仙伝抄(せんでんしょう)』の本文よりも古い内容が認められる。

[北條明直]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の花王以来の花伝書の言及

【いけばな】より

…室町期の立花の様相を伝える《仙伝抄》に谷川流と記載のあるのは,公家邸において花を立てた谷川入道某の伝であろうし,これらの人々の活躍によって草創期のいけばなは,立花という法式を備えたいけばなを出現させる。このような立花成立への試行期には,立花よりもより自由な景観描写的ないけばなも存在していたようで,現在最も古い花書ではないかと考えられる《花王以来の花伝書》には,〈岸くづれの花〉や室外の縁に置いたいけばなが見られ,前栽との関連が注目される。 日本のいけばなが明確な理念をもって歴史の上に登場するのは,《池坊専応口伝》によってである。…

※「花王以来の花伝書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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