日本大百科全書(ニッポニカ) 「苗腐病」の意味・わかりやすい解説
苗腐病
なえぐされびょう
イネの病気で、寒冷地の苗代で発生する。播種(はしゅ)直後の種子または発芽直後の幼苗に白色、綿毛状のカビを生じ、種子や幼苗が腐敗する。病原菌は鞭毛(べんもう)菌類に属する水生菌で、アクリヤ属Achlyaおよびピシウム属Pythiumの数種が知られている。水苗代の育苗が行われていたころは寒冷地では重要な病気であったが、機械移植の普及により育苗法が変わり、現在ではほとんど発生をみない。苗腐病はこのほかキンギョソウ、シクラメンにも発生する。いずれも幼苗が腐敗する。病原はキンギョソウではピシウム・スピノサムPythium spinosum、シクラメンではティエラビオプシス・バシコラThielaviopsis basicolaという糸状菌(カビ)である。
[梶原敏宏]