菌糸組織(読み)きんしそしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「菌糸組織」の意味・わかりやすい解説

菌糸組織
きんしそしき

菌糸によって形成される組織で、担子菌類子嚢(しのう)菌類でみられる。成長した栄養体(菌糸体)から分岐した菌糸の先端が他の菌糸の側面に接すると、接触部で菌糸壁が連結して細胞内容が連絡する。この菌糸結合と菌糸の分岐が非常に盛んに繰り返されると、種々の菌糸組織が発達する。その簡単なものは、基物内の菌糸体から生じた気生菌糸により形成される菌糸層(マット)である。これよりも菌糸が密に詰まって基物の表面を覆うものに薄皮(ペリクル)があり、さらに厚くて硬いものを硬殻(クラスト)という。よく発達して分化した菌糸組織は、繊維菌糸組織と異型菌糸組織に2大別される。前者菌糸束や菌核の髄の部分でみられる結合の緩い菌糸組織であり、後者は皮層の部分でみられる一様な直径の球ないしは多角体状の細胞が密に詰まった菌糸組織である。子実体であるキノコや地衣体も分化した菌糸組織によって形成される。

[寺川博典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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