落謝(読み)らくしゃ

精選版 日本国語大辞典 「落謝」の意味・読み・例文・類語

らく‐しゃ【落謝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語未来位相から現在の位相に生じて来た諸法が生ずると同時に過去の位相に滅び去っていくことをいう。転じて、その座ですんでしまうこと。その場で落着すること。
    1. [初出の実例]「その事は其座にて既落謝せしは」(出典:米沢本沙石集(1283)五本)
  3. 花が落ち散ること。
    1. [初出の実例]「風吹日照、則必花早く損ずるが、定て明日はまた隂べき程に、花は落謝はせまいぞ」(出典:四河入海(17C前)一四)

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世界大百科事典(旧版)内の落謝の言及

【説一切有部】より

…森羅万象を形成するための要素的存在として70ほどの法(ダルマ)を想定し,これらの法が過去・未来・現在の三世に常に自己同一を保ち実在するが,我々がそれらを経験できるのは現在の一瞬間にすぎない,という主張である。すなわち未来世に存するさまざまな可能性をもった雑乱住の法が現在に引張り出され,そこで一瞬間我々に認識され,次に過去に落謝する(去る)という。このように我々は映画のフィルムの各こまを見るように,瞬間ごとに異なった法を経験しているのだと唱え,諸行無常を説明するのである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」