虎石(読み)とらがいし

精選版 日本国語大辞典 「虎石」の意味・読み・例文・類語

とら‐が‐いし【虎石】

[1] 〘名〙 形が虎の姿に似ていたり、虎のような斑点があったりする石。また、その石にまつわる伝説。曾我十郎愛人大磯虎御前に関連させて、全国的に分布。虎御前が石になったり、石が重くなったりするもの。石占信仰、巫女集団と関係する。寅子石。
※一目玉鉾(1689)二「虎がいしとて紫だちてなめらかなるが」
[2] 神奈川県大磯町の延台寺番神堂にある石。重さ一四五キログラム。曾我十郎祐成が遊女虎御前のもとに通う夜、賊の矢を防いだため、十郎の身代わり石といわれ、美男しか持ち上げられないという。虎御石。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の虎石の言及

【虎御前】より

…【小田 雄三】 《曾我物語》では,虎御前は曾我兄弟の死後,箱根で出家し廻国に出て,熊野その他各地の霊場を巡って兄弟の菩提(ぼだい)を弔い曾我の里に帰って一周忌を営み,のちに2人の骨を首にかけ信濃の善光寺に納めたとされる。伝説としては,兄弟を弔って諸国を廻国して没した虎御前をまつったとする虎石も多く,福島県から鹿児島県にまで分布している。また虎石,虎ヶ塚,虎石塚と称されるものの中には大磯の虎や曾我兄弟と無関係なものがあり,《本朝神仙伝》や《元亨釈書》には聖山の禁を犯して吉野山に登ろうとした都藍尼(とらんに)の伝説を伝え,高野山,立山,白山にも同様な都藍尼の登山の伝説があることからすると,虎石,虎ヶ塚などの遺跡は,本来,トラ,トラン,トウロなどと称された廻国の巫女の足跡ではなかったかと考えられている。…

※「虎石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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