日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛍光ガラス」の意味・わかりやすい解説
蛍光ガラス
けいこうがらす
fluorescent glass
特定の光が照射されると、その光のエネルギーを吸収蓄積し、そのエネルギーを可視部もしくは近可視部の光として放出するガラス。光照射により発光する現象を光ルミネセンス(フォトルミネセンス)とよぶ。そのほか、電界、熱および化学反応によって発光する現象をエレクトロルミネセンス、熱ルミネセンス、化学ルミネセンスとよぶ。ガラスでは、とくに光ルミネセンスがよく知られている。光照射後ただちに発光が消失・減衰するガラスを蛍光ガラス、長時間にわたって発光し続けるガラスを蓄光ガラスとよぶ。ガラスの光ルミネセンスでは、ガラスに添加された遷移金属イオン、希土類イオン、半導体微粒子、金属微粒子などの特定の元素に基づくものや、ガラス中の構造欠陥や不純物によるものなどが報告されている。放射量を測定する際に用いる線量計や、紫外光を可視光に変換するための素子として応用されている。
[伊藤節郎]