熱ルミネセンス(読み)ネツルミネセンス

デジタル大辞泉 「熱ルミネセンス」の意味・読み・例文・類語

ねつ‐ルミネセンス【熱ルミネセンス】

ルミネセンス一種蛍光体などの物質が、外部から光や放射線などの刺激を受けた後、加熱してはじめて発光する現象。また、その光。放射線の吸収量が発光量に比例する。その性質を利用したものに、放射線を計測する熱ルミネセンス線量計がある。また、年代測定にも用いられ、熱ルミネセンス法と呼ばれる。TL(thermoluminescence)。

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化学辞典 第2版 「熱ルミネセンス」の解説

熱ルミネセンス
ネツルミネセンス
thermoluminescence

加熱によって起こるルミネセンス現象.蓄光状態,すなわち励起エネルギーがトラップされている状態にある蛍光体は,温度上昇に従ってトラップの深さに応じた温度でエネルギー担体(電子正孔,励起子など)を解放し,光として放出する.通常,励起は低温で紫外線によるが,放射線でもよく,また深いトラップの場合は常温で励起し,高温で蛍光を放出する.温度と発光の強さの関係をグロー曲線といい,これを解析してトラップの深さを知る.熱励起電流や熱励起電子放出とも関連が深い.実用的応用として熱ルミネセンス線量計(TLD)がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱ルミネセンス」の意味・わかりやすい解説

熱ルミネセンス
ねつルミネセンス
thermoluminescence

蛍石のようなケイ光体に光または放射線を当てたのち,温度を上げると発光する現象。その色は物質の種類により異なる。温度を上げたまま長時間放置して光を出し尽したものは,冷やしてからもう一度温度を上げても光を出さない。この光はケイ光体中の発光中心の準安定状態に捕えられた電子または正孔が,熱エネルギーによって解放されて安定状態に落ちるときに起る発光である。

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世界大百科事典(旧版)内の熱ルミネセンスの言及

【ルミネセンス】より

…(1)光ルミネセンス 光の励起によって発光するルミネセンスで,フォトルミネセンスとも呼ばれ,蛍光灯や蛍光塗料など多方面に用いられている。(2)熱ルミネセンス 蛍光体に刺激を与えて励起し,その刺激を断ってから温度をあげたときに生ずるルミネセンス。(3)化学ルミネセンス 化学反応に伴って生ずるルミネセンスで,ルミノール液の酸化の際の発光はこの代表的なものとして知られている。…

※「熱ルミネセンス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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