四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「血小板数」の解説
血小板数
基準値
15万~35万/μℓ
血小板とは
赤血球中に含まれる有形成分のひとつで、おもに止血の働きをしている。
おもに出血傾向や貧血を調べる検査です。血小板は、減少すると出血しやすくなり、凝集能力が高まると血栓ができやすくなります。
減少すると出血しやすい、血が止まりにくくなる
血小板の中心的役割は止血です。血小板には粘着能力と凝集能力があり、血管が損傷する(破れる)と血管壁にくっつき(粘着)、活性化することでお互いがくっつき(凝集)、大きな塊をつくって損傷部を塞ぎ、出血を止めます。
したがって血小板数が減少すると出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなります。血管や血小板、血液凝固因子の変化により出血しやすくなったり、止血しにくくなることを出血傾向(出血性素因)といいますが、何らかの原因により出血傾向や貧血がみられるとき、必ず行う検査のひとつが血小板数です。
増加すると血栓症に注意
骨髄増殖性疾患では血小板数が増加しますが、この場合は血小板機能異常を伴うため、増加による血栓症とともに出血傾向に注意する必要があります。
5万以下になると50%の人が出血しやすくなる
血小板数は、自動血球計数器によって測定されます。15万~35万/μℓが基準値で、一般に10万以下が血小板減少症、40万以上が血小板増多症とされています。血小板数が5万以下になると50%の人が出血しやすくなり、1.5万~2.0万以下になると必ず出血します。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
凝集能力の亢進は脳梗塞や急性心筋梗塞などの引き金に
血小板は、その数だけでなく凝集能力にも注意が必要です。血小板のくっつく能力が
凝集能力を調べる検査(血小板機能検査)は、血小板数が基準値内でも出血傾向がみられる場合や、血小板減少症などのときに行います。
血小板減少症は脳出血などの大出血に注意
血小板減少症は出血傾向と直接関係するため、血小板機能検査を含めた精密検査が必要です。
また、減少症は、紫斑や粘膜出血、鼻出血、消化管出血だけでなく、脳出血などの生命を脅かす大出血をおこすこともあるので、食事をはじめとする生活改善が大切です。
逆に、血小板が極端に増加する場合には、血栓症予防のためにアスピリンやワーファリンなどの薬剤を投与します。
疑われるおもな病気などは
◆高値(血小板増多症)
→骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病など)、感染症、血栓症など
◆低値(血小板減少症)
・産生低下→再生不良性貧血、急性白血病、
・破壊亢進→
・分布異常→
医師が使う一般用語
「プレイトレット」=platelet(血小板)から。また、略語plから「ピーエル」
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報