化学辞典 第2版 「複合核反応」の解説
複合核反応
フクゴウカクハンノウ
compound nuclear reaction
核反応X(a,b)Yの中間段階で,Xとaとから核Cができ,適当に長い寿命の後Yとbに分かれる反応.このCを複合核という.形式的には
X + a → C → Y + b
と書ける.aがXの領域を通り抜けるくらいの時間に比べて,Cの寿命Tが十分長いということは,準位の幅
ℏ/T = Γ
がaのエネルギーEに比べて十分小さいことを意味する.複合核反応の特徴は,Eのわずかな変化に対し,反応の断面積が敏感に変化する共鳴現象が起こることである.そこで,核Cの寿命が長くΓが小さいほど共鳴が鋭い.このことは,一面では核Cの構造が非常に複雑であることをも反映している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報