複素コンプライアンス(読み)フクソコンプライアンス

化学辞典 第2版 「複素コンプライアンス」の解説

複素コンプライアンス
フクソコンプライアンス
complex compliance

線形粘弾性において,振動的な応力σ,ひずみγに対するコンプライアンスを複素表示したものを複素コンプライアンスといい,複素弾性率逆数に当たる.すなわち,応力

σ*σ0eiωt
に対するひずみ

γ*γ0ei(ωtδ)
の比

J *γ*/σ*
をいう(ωは周波数i 2 = -1,δは位相差角).J *

J *J ′ - iJ
と書いたとき,J ′を貯蔵コンプライアンス,J ″を損失コンプライアンスといい,その比J ″/J ′は損失正接tan δに等しい.

J ′,J ″,tan δ
は,一般に周波数に依存する.フックの弾性体では

J ″ = 0,tan δ = 0,
ニュートン粘性体では

J ′ = 0,tan δ = ∞
である.複素弾性率

G *G ′ + iG
J *

G *J * = 1
の関係にあるので,

が成り立つ.複素コンプライアンスは複素弾性率と同様,線形粘弾性における重要な特性関数の一つである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

機械メーカー。トヨタグループの総本家で,繊維機械のほかトヨタ自動車からの小型商用車の受託生産,エンジンその他の自動車部品,フォークリフトなどの産業用車両の生産も行なう。1926年豊田佐吉が,みずから発...

豊田自動織機の用語解説を読む