応力(読み)おうりょく(英語表記)stress

  • 応力 stress

翻訳|stress

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物体に外力が作用すると,物体内部にはもとの形状や寸法を保とうとする抵抗力(すなわち内力)が生じ,破断しないかぎり外力と釣り合っているはずである。この内力は,物体内に仮想する断面の取り方や断面上の位置によって変化する。内力 S が仮想断面(断面積 A)上で一様である場合は,S/A の値をもって応力あるいは応力度という。断面上で内力が変わるときには,ある位置の微小面積 ΔA に作用する内力 ΔS との比,すなわち ΔS/ΔA をとり,ΔA が 0に近づくときの極限値で定義する。仮想断面上に作用する応力の方向は,断面に対して常に垂直とはかぎらず,一般にはある傾きをもつ。したがって,この応力の断面に垂直な成分を垂直応力,断面に沿う成分を剪断応力,ずれ応力または接線応力と呼ぶ。前者で断面の外方向に向くときを引っ張り応力,断面に向かって押すように作用する場合を圧縮応力という。(→主応力

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百科事典マイペディアの解説

物体内部に考えた任意の単位面積を通し両側の部分が互いに及ぼしあう。面に垂直な応力の成分を法線応力,面の接線方向の成分を接線応力という。また法線応力は面の両側の物体部分が互いに押し合うか引っ張り合う作用をもつので圧縮応力圧力)または引張応力(張力)ともいい,接線応力は面に沿って両側の部分を相互にすべり動かそうとする作用(剪断作用)をもつので,剪断応力ともいう。→応力集中
→関連項目安全率許容応力クリープクリープ試験剛性率降伏点材料力学ねじり試験

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岩石学辞典の解説

一般に物体の内部に考えた任意の単位面積を通して,その両側の物体部分が互いに相手に及ぼす力をその面に関する応力(stress)というが,応力にはいくつかの異なった定義がある.(1) 単位面積当たりの内部の力の強さで,物体の二つの隣接した部分の間にかかる作用と反作用をいう.ストレスは剪断応力(shearing stress)の接線成分,引張り応力(tensional stress),圧縮応力(compressional stress)などがある.(2) 外力が物体に働いた場合の物体の変形に対する抵抗で,ストレスは外力と等しい.(3) 静水圧によって保たれている平衡状態を不安定にする一方向の力.(4) 物体内部の任意の面の単位面積に働く力をいう.(5) 物体を変形する,または変形するように働く力をいい,単位面積当たりの力で測られる.ラテン語stringereは引き合うの意味.

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世界大百科事典 第2版の解説

物体に外部から力が作用するとき,その反作用として物体内に生ずる分布内力を応力という。応力の大きさは単位面積に作用する内力の大きさにより定義され,これを応力度あるいは応力強さともいうが,一般には応力度のことを単に応力と呼び,以下の解説でも応力という場合は単位面積当りの応力を指すことにする。したがって,応力の単位は〈力÷面積〉の次元をもちkgf/cm2,kgf/mm2が多く用いられ,英米などヤード・ポンド法の国ではpsi(ポンド毎平方インチ)が用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物体に外から力を加えたとき、物体内部に仮想的な面を考えて物体を二つに分けて考えると、その面の両側は互いに力を及ぼし合っている。単位面積当りのこの力を応力という。この力の方向が面に垂直のとき法線応力、面に平行のときずり応力という。一般に斜めのときは、両方の成分があることになる。法線応力が互いに押し合う向きのとき圧力、引き合う向きのとき張力という。

 応力を定義するには、まず、面の方向(面の法線方向)を指定し、次のその面を通して及ぼし合う力の大きさと方向を与えなくてはならない。すなわち、応力は面の方向を示すベクトルと、力を示すベクトルとで与えられ、したがって、応力は2階のテンソルで表される。応力をTで表すと、x軸に垂直な面を考え、この面を通して及ぼし合う力のxyz成分をTxxTxyTxzで表す。同様にTyxTyyTyzTzxTzyTzzが考えられるが、力のモーメントがつり合っている条件としてTyzTzyTyxTxyTxzTzxでなくてはならない。したがって応力テンソルには一般にTxxTyyTzzTyzTzxTxyの六つの独立な成分があり、全体として応力T

と書ける。このうちTxxTyyTzzが法線応力(正のとき張力、負のとき圧力)の成分であり、TyzTzxTxyがずり応力の成分である。xyz軸を適当に選ぶと、ずり応力成分がすべてゼロとなるようなxyz軸を探し出すことができる。このとき応力テンソルは

となる。このときのxyz軸を応力の主軸、TxxTyyTzzを主応力という。流体中の静水圧の場合はTxxTyyTzz=-PPは静水圧)である。

[和田八三久・西 敏夫]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 物体内に存在する内力。物体内に考えた面を両側から互いに押し合っている場合を圧力、引き合っている場合を張力、その面の両側を互いにずらすような場合をずれ応力という。内力。ストレス。⇔外力。〔工学字彙(1886)〕

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世界大百科事典内の応力の言及

【音声学】より


【韻律的特徴】
 言語音声の強さ,高さ,長さをまとめて韻律的特徴prosodic featuresという。(1)強さアクセント(強弱アクセント),あるいは強勢stressは音声を発する相対的な息の強さによる。英語では強勢に強[]と弱の別があり,その位置が自由に移動して語の意味を区別する。…

【ストレス】より

…ストレスは元来は機械工学的な用語で,物体を圧縮したり引き伸ばしたりしたときにその物体に生じる〈ひずみ〉を意味するが,1936年H.セリエによってストレス学説が提唱されて以来,この語はしだいに流布し,現今では日常用語化している。その邦訳語は〈負荷〉であるが,ほとんど用いられず,外来語のまま使用されている。
[ストレス学説]
 セリエは生体が外傷,中毒,寒冷,伝染病のような異なった種類の刺激にさらされた際,刺激の性格のいかんにかかわらず,ある種の一様な反応が生じる事実に注目した。…

【圧力】より

…一つの物体内でもその内部の各部分が互いに押し合っているときにはこれを圧力という。後者の場合には,物体内に面を考えてその両側の部分がこの面のところで互いに及ぼし合う力(応力という)として考える。これらの力が面に垂直でないときには,それを面に垂直な成分と平行な成分とに分け,垂直成分が押し合う力になっているときにこれを圧力という(引き合うときは張力)。…

【流れ】より

… 流体の中に任意の面をとると,両側の流体はその面をとおして互いに力を及ぼしあっている。これを応力といい,強さは単位面積当りの力で測る。静止しているふつうの流体では,応力は面に垂直で,互いにおしあう力(圧力)であって,その強さが面の方向によらない等方的な力である。…

※「応力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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