コンプライアンス(読み)こんぷらいあんす(英語表記)compliance

翻訳|compliance

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンプライアンス」の意味・わかりやすい解説

コンプライアンス
こんぷらいあんす
compliance

広義には、民間企業、非営利組織、行政組織などが消費者、従業員・職員、取引先株主などの利害関係者の要請に機動的に対応することを意味するが、日本では法律や規則に従う法令遵守の意味で使われている。国民の生命や安心・安全、利益を損なう不祥事が相次いだため、近年、コンプライアンスの重要性が叫ばれるようになった。企業の社会的責任(CSR、Corporate Social Responsibilityの略)という考え方も、法令遵守が前提となっている。

 コンプライアンス違反は企業や行政組織の社会的信用を根底から揺るがし、損害賠償請求や売上急減などで多大な損失を被るだけに、各企業・組織とも自主ルールを定めたり、専門組織を設けたりしている。しかし自動車や家電製品の欠陥隠し、食をめぐる偽装、原子力発電所のトラブル隠蔽(いんぺい)、公共工事入札における談合元本割れしやすい金融商品のリスク告知が不十分な販売などの事件やトラブルは後を絶たない。このため2006年(平成18)以降、コンプライアンスの徹底を促す法整備が進んでいる。違反状態の放置を避けるため、内部告発を促すねらいで、2006年1月に改正独占禁止法が施行され、談合などの事実を自主申告した企業への課徴金減免制度を導入した。同年4月には内部通報者が解雇などの不利益を被らないようにする公益通報者保護法も施行された。同年5月に施行された会社法は、監査役や株主の監視手段を拡充。金融当局の検査監査も、従来不良債権のチェックから法令遵守や利用者保護に軸足を移し、金融商品取引法では、不正防止に向けた仕組みや部署をつくり、管理状況を文書で残すよう求めている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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