西岔溝古墓(読み)せいたこうこぼ(英語表記)Xī chà gōu gǔ mǔ

改訂新版 世界大百科事典 「西岔溝古墓」の意味・わかりやすい解説

西岔溝古墓 (せいたこうこぼ)
Xī chà gōu gǔ mǔ

中国,遼寧省西豊県執中村の北西約500mの丘陵上にある古墓群。墓の構造は,ほぼ一様に長方形竪穴土坑墓で,長さ約1.7m,幅約0.8mの単身葬を基本とする。被葬者は大部分が青・壮年で老人は少ない。いずれも武器を身につけ,馬具土器をともなった埋葬状況を示し,遊牧部族の氏族公共墓地を形成している。副葬品では武器,馬具,服飾品に特色がある。武器には刀剣が多種類あり,漢式の環頭柄頭(つかがしら)の鉄刀,青銅製柄頭に鉄剣を装着したものなどのほか,いわゆる触角式の青銅柄頭に鉄剣身を着けたものは特色がある。馬具は実用的な鉄製轡(くつわ)が主であるが,鍍金刻文を施した馬面もある。服飾品はオルドス式銅牌が多数ある。生活用具に金属器がなく,手づくねの土器のみである。漢式遺物は前漢鏡のほか,武器,馬具,生活用具全般がある。前漢代前半,匈奴の勢力が最も東方へ及んだときのものと考えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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