訳無(読み)わけない

精選版 日本国語大辞典 「訳無」の意味・読み・例文・類語

わけ‐な・い【訳無】

〘形口〙 わけな・し 〘形ク〙
① 意味がない。理由がない。筋道が立たない。
随筆・孔雀楼筆記(1768)二「鴉のまねせし乞食あり。一度なけば多の鴉群り集る。これ等をみれば、かの類の語にわけなきこと知るべし」
思慮分別がない。わきまえがない。また、正気を失っている。正体がない。たわいがない。だらしがない。
俳諧・談林十百韻(1675)跋「今世間の俳諧より、此方をば飛躰など号て、わけなき物のやうに思ふ」
手間がかからない。たやすい。何でもない。簡単だ。「わけなく」の形で副詞的にも用いる。
※ゆく雲(1895)〈樋口一葉〉中「針仕事は袴の仕立までわけなきよし」

わけ‐なし【訳無】

〘名〙 (形動)
① 無意味なこと。わけのわからないさま。また、道理を理解しないさま。たわいのないさま。
※雑俳・伊勢冠付(1772‐1817)「妓の母親・わけなしに悦んで居」
② 手間がかからないこと。何でもないこと。容易なこと。また、そのさま。
※大新板おどけ粋言葉(1830‐44頃)「あいさつのない喧嘩で、わけなし」
情事や色恋沙汰がないこと。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上「振分髪の頃なれば、さらに訳(ワケ)なしさ」

わっけ‐も‐な・い【訳無】

〘形口〙 (「わけもない」の変化した語)
① とほうもない。とんでもない。
浄瑠璃・狭夜衣鴛鴦剣翅(1739)二「はれわっけもないおかへりの、ところをせめてしらんとて」
② くだらない。つまらない。たわいもない。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)四「アアわっけもない。そんな事云ぬ物」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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