情事(読み)じょうじ(英語表記)L'avventura

日本大百科全書(ニッポニカ)「情事」の解説

情事
じょうじ
L'avventura

1960年製作のイタリア・フランス合作映画。ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作で、カンヌ国際映画祭審査員特別賞に輝いた。外交官の娘アンナ(レア・マッサリLea Massari、1933― )は婚約者のサンドロ(ガブリエーレ・フェルゼッティGabriele Ferzetti、1925―2015)、女友達のクラウディア(モニカ・ビッティMonica Vitti、1931―2022)といっしょに地中海クルージングに出かけるが、途中で上陸した無人島で失踪(しっそう)してしまう。残された2人はアンナの行方を捜すうちに、恋人同士になってしまい、周囲の人々も事態を当然のことのように受け止める。ヒロインが途中で消え去り、その理由がいっさい開示されないという特殊な物語構造を採用しながら、ブルジョア階級の倦怠(けんたい)を人間疎外としてとらえ、日本では「愛の不毛」の映画と形容された。イタリアでは「ブーム」とよばれた高度経済成長を背景に、社会問題を扱っていたネオレアリズモ映画が、現代人の内面へと沈潜していく契機となった。

[西村安弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「情事」の解説

情事
じょうじ
L'Avventura

イタリア映画。チーノ・デル・ドゥーカ 1960年作品。ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作。脚本アントニオーニ,E.バルトリーニ,T.グェッラ。撮影 A.スカバルダ。音楽 G.フスコ。主演 M.ビッティ,G.フェルゼッティ。元大使の娘アンナの失踪を追う恋人サンドロとアンナの親友クラウディアの曖昧な結びつきを描く。 1960年代の矛盾に満ちたイタリアの繁栄をバックに,物語の展開よりも心象風景力点をおき,現代人の愛の不毛,倦怠,孤独を象徴的に映像化した。『夜』 La Notte (1961) ,『太陽はひとりぼっち』L'Eclipse (62) とともに愛の3部作といわれ,ビッティが注目を浴びた。

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精選版 日本国語大辞典「情事」の解説

じょう‐じ ジャウ‥【情事】

〘名〙
① 心の中に思っている事柄。いつわりのない事柄。〔南史‐沈烔伝〕
② 事。ありさま。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一二「凡そ能(よく)すべからざる情事(〈注〉アリサマ)に逢へば、相ひ語りて曰く」
③ 男女間の恋愛に関する事柄。いろごと。
※柳橋新誌(1874)〈成島柳北〉初「静女の舞を奏して頼朝に幕府に屈せざるが若きは、皆是れ千古の情事」

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デジタル大辞泉プラス「情事」の解説

情事

森瑶子小説。若さを失いつつある30代の既婚女性が外国人ジャーナリストとの情事にのめりこんでいく姿を描く。1978年、第2回すばる文学賞を受賞し、同年刊行。

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