日本大百科全書(ニッポニカ) 「誤差逆伝播法」の意味・わかりやすい解説
誤差逆伝播法
ごさぎゃくでんぱほう
backpropagation
ディープラーニング(深層学習)を含む多層のニューラルネットワークにおける学習手法。
最初に実現されたニューラルネットワークであるパーセプトロンは、入力層と出力層が直結されており、そのリンクの重みを変更することによって学習が行われていた。つまり、「正しい出力」を出すことに寄与したリンクの重みは増し、逆に「間違った出力」に寄与したリンクの重みは減らすことによって学習が可能になる。しかし、この単純なパーセプトロンで学習できる概念は単純なものに限られていた。入力層と出力層の間に隠れ層とよばれる中間層を入れることによって、多層ニューラルネットワークは原理的にはすべての概念の学習が可能になるものの、その学習(リンクの重み調整)方式は長く構築されなかった。1967年(昭和42)、この学習方式を最初に提案したのは甘利俊一(あまりしゅんいち)(1936― )である。しかし、それは残念ながら海外では認識されず、1986年になってラメルハートDavid Everett Rumelhart(1942―2011)らが再発見することになる。これが誤差逆伝播法と命名され、今日のディープラーニングに至るまで使われている。
[中島秀之 2019年8月20日]