謄本保有(読み)とうほんほゆう(英語表記)copyhold

翻訳|copyhold

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

謄本保有
とうほんほゆう
copyhold

初期のイギリス法上,「荘園慣習に従い,領主の意向にそって保有せられている」と定義される土地保有態様である。謄本保有の起源は,封建領主の荘園に帰属する土地の一部を隷農 villein,すなわち非自由人 non-freemanが占有していたことに見られる。領主の土地は,労務の提供を義務づけられ,その荘園を離れることを許されなかった農奴によって耕作されていたが,農奴はまた,自己の用に供するために土地を耕作することを許されてもいた。このような,封建領主の荘園の一部についての隷農の占有が謄本保有であるが,領主の意向次第の占有にすぎなかった。しかし,それはやがて「隷農保有」 villenagiumと呼ばれる,権利に基づく占有へと変質し,最初は慣習上認められ,のちには法律上認められるようになった。荘園裁判所の記録は,隷農保有者が荘園記録の謄本に基づいて保有する (このゆえに謄本保有の言葉が生れた) 土地に対してもつ権原を構成し,またそのなかに記録された荘園の慣習が当該隷農の事件に適用されるべき物的財産法を形成するにいたった。

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世界大百科事典内の謄本保有の言及

【土地保有】より

…農奴保有というのは,農奴が領主に対する賦役を条件に土地を保有するものであり,慣習保有とは荘園の慣習にもとづく土地保有で,保有者は〈生産物地代〉ないし〈代金納地代〉支払の義務を負う。もともとそれは,〈荘園の慣習にもとづく〉という規定だけではなく,〈領主の意志による〉保有という規定を含んでおり,たとえばイギリスの〈謄本保有copyhold〉(コピーホールダー)は,その二つの規定をもつものであった。しかし,時代とともに両者が分離し,本来の慣習保有は,(1)領主の意志に従っていつでも保有地を取り上げられる〈任意保有tenancy at will〉と,(2)領主の意志が荘園の慣習によってある程度制限される〈慣習保有〉となった。…

※「謄本保有」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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