豆州志稿(読み)ずしゆうしこう

日本歴史地名大系 「豆州志稿」の解説

豆州志稿
ずしゆうしこう

一三巻 秋山章編

別称 伊豆志

成立 寛政一二年

写本 静岡県立中央図書館ほか

解説 並河誠所の門人秋山章(号は富南、字は子成、文蔵と通称する)は田方郡安久村に生れた。寛政五年の老中松平定信の伊豆国等海辺巡視に影響されて地誌編纂事業を企図知己の韮山代官江川英毅を通じて勘定所に豆州廻村を願出て許可を得た。調査は孫婿武田善政・弟子広瀬安貞、測量家泰中仲・土岐柏との五人で行われ、完成本の献上を受けた幕府は白銀一〇枚を下してその労をねぎらった。一三巻の内容は、巻一建置・疆域・形勝・沿革・租調庸・庄園・武家役・里程・郡郷・祥異・雑事、巻二―三町村、巻四山嶽、巻五原野、巻六川渓・橋梁、巻七物産、巻八―九仏祠、巻一〇―一一仏刹、巻一二墳墓・古墳、巻一三流寓・人物・烈女・僧英・侠客となっている。しかしこの秋山の稿本は江戸時代には版行されず、明治二一年に伊豆長岡の国学者萩原正平が増補訂正・刊行を企て、正平の死後は嗣子正夫が父の遺志を引継ぎ、同二五年から二八年にかけて「増訂豆州志稿」として印刷・刊行した。

活字本 「増訂豆州志稿」、「増訂豆州志稿 伊豆七島志全」(昭和四二年)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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