豊嶋弥左衛門(てじまやざえもん)(読み)てじまやざえもん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

豊嶋弥左衛門(てじまやざえもん)
てじまやざえもん
(1899―1978)

能役者金剛(こんごう)流シテ方。広島県に生まれる。高安(たかやす)流ワキ方豊嶋一松(いちまつ)の長男で、本名弥平。前名一(はじめ)。金剛謹之助(きんのすけ)、初代金剛巌(いわお)に師事。官能的にみごとな芸風で関西を中心に多くのファンを魅了した。1977年(昭和52)重要無形文化財各個保持者(人間国宝)に認定される。兄弟のうち3人は金剛流シテ方、3人は高安流ワキ方であったが、要之助、永蔵(えいぞう)、文二を広島の原爆と戦争で失い、豊(ゆたか)は病没した。弟の豊嶋十郎は高安流ワキ方。金剛流シテ方としての後継者に息子の訓三(くんぞう)、三千春(みちはる)がある。著書に『弥左衛門芸談』(1980)。

増田正造

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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