金剛(読み)コンゴウ

デジタル大辞泉 「金剛」の意味・読み・例文・類語

こん‐ごう〔‐ガウ〕【金剛】

《〈梵〉Vajraの訳。最剛、堅固の意》

㋐金属の中で最もかたいもの。
㋑きわめて強固で破れないもの。
金剛しょ」の略。
金剛界」の略。「金剛童子」
金剛草履ぞうり」の略。
金剛草履をいつも履いているところから》歌舞伎若衆の供をした召使い

こんごう【金剛】[能楽師の姓]

能楽師の姓の一。シテ方の家柄。大和猿楽坂戸座の6世三郎正明の童名金剛丸からとったもの。
金剛流」または「金剛座」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「金剛」の意味・読み・例文・類語

こん‐ごう‥ガウ【金剛】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [梵語] vajra訳語。跋闍羅、伐折羅などと音訳。金中最剛の意 )
    1. 仏語。
      1. (イ) 金属中、最もかたいもの。宝石としての金剛石、または武器としての金剛杵(こんごうしょ)をいう。
        1. [初出の実例]「万民楽。四境恬静。天官冢宰。全保金剛」(出典:日本三代実録‐貞観三年(861)三月一四日)
        2. [その他の文献]〔大日経‐一〕
      2. (ロ) きわめて堅固で何物にもこわされないたとえ。仏道を修めた者が、物に迷わないたとえ。
        1. [初出の実例]「金剛之身、無五盛陰苦」(出典:往生要集(984‐985)大文二)
        2. [その他の文献]〔心地観経‐五〕
    2. こんごうかい(金剛界)」の略。
      1. [初出の実例]「伎楽壱拾壱具、〈略〉呉公壱面〈衣服具〉、金剛壱面〈衣服具〉」(出典:法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
    3. こんごうりきし(金剛力士)」の略。
      1. [初出の実例]「試問金剛多少寿、玉壺氷泮劫前春」(出典:岷峨集(1313‐28頃)上・和了然寿日作頌以寄)
    4. こんごうどうじ(金剛童子)」のこと。
      1. [初出の実例]「後七日の本尊には、烏蒭沙摩(うすさま)こんがうとかう童子」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
    5. こんごうぞうり(金剛草履)」の略。
      1. [初出の実例]「生絹(すずし)の直垂に緋威の腹巻著て、こんごう履(は)いて」(出典:義経記(室町中か)二)
    6. ( 金剛草履を扱うことが多いところから ) 役者、野郎の草履取り。俳優の供男。おくり。〔仮名草子・都風俗鑑(1681)〕
      1. 金剛<b>[ 一 ]</b><b>⑥</b>〈人倫訓蒙図彙〉
        金剛[ 一 ]人倫訓蒙図彙
    7. こんごうりゅう(金剛流)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ]こんごうざ(金剛座)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「金剛(コンガウ)は、松・竹とて、二人、鎌倉より上りし者也」(出典:申楽談儀(1430)猿楽の諸座)
    2. [ 二 ]日本海軍の軍艦。大正二年(一九一三イギリスで完成した日本最初の巡洋戦艦。常備排水量二七五〇〇トン。昭和一二年(一九三七)高速戦艦に改装。同一九年台湾沖で沈没。

こんごうコンガウ【金剛】

  1. 能楽師の姓の一つ。→金剛流

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改訂新版 世界大百科事典 「金剛」の意味・わかりやすい解説

金剛 (こんごう)

〈堅固なるもの〉という意味であるが,普通には〈金剛石〉(ダイヤモンド)または〈金剛杵(こんごうしよ)〉を指す。サンスクリットバジュラvajraの訳。バジュラはもとインドラ神の武器で,雷またはそれをかたどった杵形の武器のことであるが,この武器は,それ自身何の影響も受けることなく他のあらゆるものを破壊することから,〈堅固〉と〈摧破(さいは)〉の二つの属性をもつとされ,物質として最も硬いダイヤモンドを意味するようにもなった。仏教にもこの観念が取り入れられ,禅定(ぜんじよう)や菩提心(ぼだいしん),悟りの智慧の譬喩(ひゆ)や象徴として,大乗仏教,特に密教において,この言葉がしばしば用いられるようになった。たとえば,密教で〈金剛界〉というときの〈金剛〉は,大日如来の悟りの智慧の象徴である。
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普及版 字通 「金剛」の読み・字形・画数・意味

【金剛】こんごう(がう)

金剛石。〔晋起居注〕武十三年、敦煌に人り、金剛寶を獻ず。金中に生ず。色は紫石の如し。

字通「金」の項目を見る

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「金剛」の解説

金剛

正式社名「金剛株式会社」。英文社名「KONGO inc.」。金属製品製造業。昭和22年(1947)創業。同23年(1948)設立。本社は熊本市西区上熊本。図書館・文化施設・病院などの保管・収納設備の開発・製造・販売を行う。丸ハンドル式移動棚のシェア国内トップクラス。ほかに移動書架・壁面収納家具・金庫など。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金剛」の意味・わかりやすい解説

金剛
こんごう
vajra

仏教用語。原義はダイヤモンドの意。跋日羅などと音写される。性質が堅固でこわれないので,最上,最勝の意味に使用され,金剛界,金剛頂,執 (しゅう) 金剛など,密教の言葉に用いられている。また金剛心とは,不動なる心という意味で,ゆるぎのない信心という意味である。

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デジタル大辞泉プラス 「金剛」の解説

金剛

日本海軍の戦艦。金剛型戦艦の1番艦。イギリスで建造され、1913年に竣工。同年就役の超弩級戦艦。二度の大改装を経て、第二次世界大戦では高速戦艦として活躍した。1944年、台湾海峡でアメリカの潜水艦の攻撃を受け、沈没。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「金剛」の解説

こんごう【金剛】

岡山の日本酒。純米吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒をそろえる。「備前焼入り純米酒」は徳利を容器に使用。蔵元の「金剛酒造」は明治20年(1887)創業。所在地は和気郡和気町藤野。

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世界大百科事典(旧版)内の金剛の言及

【草履】より

…《北野天神縁起絵巻》に描かれた尼僧のはく草履は,今日のものとほとんど同じである。また緒の太い緒太(おぶと)草履,イグサ(藺草)を用いて丈夫に編んだ金剛,台の裏に獣皮をつけ,後世の雪駄(せつた)の源流をなす尻切(しきれ),台の長さが足の長さの2倍もある庶民用で粗末な編み方の下々(げげ),底に別の材料をつけない裏無(うらなし)などがあった。鎌倉時代の蒙古襲来の時,わらじの機能と草履の形をとり入れた,踵(かかと)部のない半円形の足半(あしなか)が関東武士によってつくりだされ,武士のあいだに普及した。…

【伎楽】より

…扇を持って舞う。(3)《金剛》 盤渉調。(4)《迦楼羅(かるら)》 調子不明。…

※「金剛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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