〈堅固なるもの〉という意味であるが,普通には〈金剛石〉(ダイヤモンド)または〈金剛杵(こんごうしよ)〉を指す。サンスクリットのバジュラvajraの訳。バジュラはもとインドラ神の武器で,雷またはそれをかたどった杵形の武器のことであるが,この武器は,それ自身何の影響も受けることなく他のあらゆるものを破壊することから,〈堅固〉と〈摧破(さいは)〉の二つの属性をもつとされ,物質として最も硬いダイヤモンドを意味するようにもなった。仏教にもこの観念が取り入れられ,禅定(ぜんじよう)や菩提心(ぼだいしん),悟りの智慧の譬喩(ひゆ)や象徴として,大乗仏教,特に密教において,この言葉がしばしば用いられるようになった。たとえば,密教で〈金剛界〉というときの〈金剛〉は,大日如来の悟りの智慧の象徴である。
執筆者:岩松 浅夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…《北野天神縁起絵巻》に描かれた尼僧のはく草履は,今日のものとほとんど同じである。また緒の太い緒太(おぶと)草履,イグサ(藺草)を用いて丈夫に編んだ金剛,台の裏に獣皮をつけ,後世の雪駄(せつた)の源流をなす尻切(しきれ),台の長さが足の長さの2倍もある庶民用で粗末な編み方の下々(げげ),底に別の材料をつけない裏無(うらなし)などがあった。鎌倉時代の蒙古襲来の時,わらじの機能と草履の形をとり入れた,踵(かかと)部のない半円形の足半(あしなか)が関東武士によってつくりだされ,武士のあいだに普及した。…
…扇を持って舞う。(3)《金剛》 盤渉調。(4)《迦楼羅(かるら)》 調子不明。…
※「金剛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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