貝割・卵割(読み)かいわり

精選版 日本国語大辞典 「貝割・卵割」の意味・読み・例文・類語

かい‐わり かひ‥【貝割・卵割】

〘名〙
① (「かい」は卵の意) 卵の殻を割って雛がかえること。また、殻を割って生まれたばかりの意から転じて、なりたて、未熟の意にいう。
※洒落本・真女意題(1781)自序「何を申も作者の新米。〈略〉究らぬ処も多かるべし。そこが作りの卵割(カイワリ)と」
② =かいわりな(貝割菜)《季・秋》 〔改正増補和英語林集成(1886)〕
袖口の形の一つ。袖口を真中で括って上下を卵の殻を二つに割った形に分けたものをいうか。
※俳諧・流川集(1693)「爪にかかりて抜る魚の目〈露川〉 かいわりの袖しほらしき辻か花〈素覧〉」
④ 帯の結び方の一つ。卵の殻を二つに割った形に結んだものをいうか。
※俳諧・炭俵(1694)上「隣から節節嫁を呼に来る〈野坡〉 てうてうしくも誉(ほむ)るかいわり〈嵐雪〉」
⑤ アジ科の海魚。全長三〇センチメートルに達し、体は著しく側扁した卵円形。体色は背部が青緑色で、腹部は銀白色。第二背びれと尻びれに黒褐色の縦走帯がある。本州の金華山、能登半島以南に分布する。食用とし、美味。ひらあじ。

かい‐わ・る かひ‥【貝割・卵割】

〘自ラ四〙
① (「卵の殻などを割る」の意で) 孵化(ふか)する。
※俳諧・広原海(1703)一「鶏に雉子の卵まぜてかい割せ」
種子が発芽して二葉を開く。
※俳諧・類船集(1676)不「二葉、〈略〉畠に菜大根まきてかいわりたるこそいとけなき物なれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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