賤・卑(読み)いやしむ

精選版 日本国語大辞典 「賤・卑」の意味・読み・例文・類語

いやし‐・む【賤・卑】

[1] 〘他マ五(四)〙 いやしいものとして見下げる。軽んずる。さげすむ。いやしぶ。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
※新古今(1205)仮名序「めをいやしみ、みみをたふとぶるあまり」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒いやしめる(賤)
[語誌]室町期にはすでに下二段形が一般的だったが、四段形も併用され、四段形は心理作用に重点があるのに対して、下二段形はそれを積極的に態度にまで示す意があったとされる。後には四段形が衰退して下二段形のみとなった。

いやし‐・ぶ【賤・卑】

〘他バ上二〙 =いやしむ(賤)
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一「悪(にく)み賤(いやシビ)(ら)るる者は人に敬は所(れ)ぬ」

いやしん‐・ず【賤・卑】

〘他サ変〙 (「いやしみす」の音便) =いやしむ(賤)〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
社会百面相(1902)〈内田魯庵宗教家「神聖な教職を鄙(イヤシ)んじて」

いやし‐・める【賤・卑】

〘他マ下一〙 いやし・む 〘他マ下二〙 いやしいものとして見下げる。軽んずる。さげすむ。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)六「くすしをして、名をあらはすことを心にいやしめたぞ」

やし・む【賤・卑】

〘他マ四〙 あなどる。軽く見る。
甲陽軍鑑(大成本所収)(17C初)品一三「人をそねみやしむ武士一人もなし」

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