コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

甲陽軍鑑 こうようぐんかん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

甲陽軍鑑
こうようぐんかん

江戸時代初期に編纂された軍書。 20巻。甲州流軍法,兵法を伝える目的で,武田晴信 (信玄) ,勝頼2代にわたる事績,合戦,刑政,軍法を記し,さらに甲州武士の事績,心構え,理想を述べたもので,特に軍法の記述に中心がおかれているので軍鑑といわれる。本書は武士団内部における種々の伝承を集大成したものの代表的なものであり,武士道という語を使用した最も古い文献である。著者については6説あり,そのうち最も有力なものは,信玄の重臣海津城主高坂弾正虎綱 (昌信) の遺記,関山派の僧の遺記を基礎資料として,春日惣次郎,小幡康盛,外記孫八郎,西条治部らが書き継ぎ,さらに江戸時代初期の軍学者,兵法家小幡景憲が,自家門客の説,および自己の見聞を加えて集大成したというものである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

こうようぐんかん〔カフヤウグンカン〕【甲陽軍鑑】

江戸初期の軍学書。20巻。武田信玄の臣、高坂昌信の著述というが、小幡景憲(おばたかげのり)編纂説が有力。信玄を中心とし、甲州武士の事績・心構え・理想を述べたもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

甲陽軍鑑【こうようぐんかん】

江戸初期に集成された軍学書。20巻。甲斐の武田晴信・勝頼2代の事績によって,甲州流軍法,武士道を説く。異本多く,作者は諸説あるが,武田家老臣高坂弾正昌信の遺記をもとに春日惣二郎・小幡(おばた)下野が書き継ぎ,小幡景憲が集大成したとみられる。
→関連項目山本勘介

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

こうようぐんかん【甲陽軍鑑】

江戸初期に集成された軍書。武田氏の老臣高坂弾正昌信の遺記を基に,春日惣二郎,小幡下野らが書きつぎ,小幡景憲が集大成したといわれる。20巻59品から成り,武田信玄・勝頼の2代にわたる治績,合戦,戦術,刑法等が記され,初期武士道に関する記述もみられる。現存する最古の板本は1656年(明暦2)のものであり,異本も数多い。《戦国史料叢書》《甲斐叢書》所収。【笹本 正治】

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

こうようぐんかん【甲陽軍鑑】

江戸初期の軍学書。二〇巻。武田信玄・勝頼二代の事績・軍法・刑法を記したもの。高坂昌信の遺稿に仮託して、小幡景憲が編。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

甲陽軍鑑
こうようぐんかん

江戸初期につくられた軍記。全20巻、59品。甲州流兵法の祖小幡景憲(おばたかげのり)は、本書を基本的原典とし、これに『末書』3巻・27品、『結要本』9品、『竜虎豹』3品をもって兵法講義の素材とした。戦国の名将武田信玄(しんげん)一代の戦功・武略を中心に、治政、刑法、軍法などについて記したもので、とくに陣営、兵伍(へいご)、諸道具などの記述が詳しい。これに勝頼(かつより)の一代記(50品以下)、最後(59品)に徳川家康の物語が付加されている。年代や事実の錯誤がみられ、武田氏の実録とはいえないが、甲州武士の思考や行動が生々しい迫力で綴(つづ)られており、「上下諸侍(しょざむらい)の作法の資」としようとする作者の意図が随所にうかがえる。
 本書の成立については、すでに江戸時代から偽書説や多くの異説があるが、明治中期以後は、信玄の寵臣(ちょうしん)で信州(長野県)海津(かいづ)の城代を勤めた高坂弾正忠昌信(こうさかだんじょうのじょうまさのぶ)(1527―78)、通称高坂弾正の言を籍(か)りて、彼の縁者春日惣二郎(かすがそうじろう)・大蔵彦十郎らが編集・加筆し、これを小幡景憲が増補・集成したものとみられてきた。しかし近年本書の分析が進み、昌信を原作者とすべきであるとする説が唱えられている。[渡邉一郎]
『磯貝一・服部治則註『甲陽軍鑑』(1965・人物往来社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の甲陽軍鑑の言及

【甲陽軍記物】より

…講談,人形浄瑠璃,歌舞伎狂言の一系統。《甲陽軍鑑》に材を得ており,甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信との川中島の戦を中心とした両家の対立や事跡などをテーマにした作品群。信玄の軍師,山本勘助の活躍が眼目の一つ。…

※「甲陽軍鑑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

甲陽軍鑑の関連キーワード水流れて元の海に入り月落ちて天を離れず信州川中島合戦青葉者・白歯者本朝廿四孝手を下げる御座を直す甲陽軍記物大方無し餓鬼偏執光らかす四天二天手に入る踏まえ所とばつく山本勘助立て分け手遣い太刀影熟れる巳の時

今日のキーワード

いい夫婦の日

11月22日。通商産業省(現経済産業省)が制定。パートナーへの感謝の意を示し、絆を深める。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android