日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤穂義人纂書」の意味・わかりやすい解説
赤穂義人纂書
あこうぎじんさんしょ
赤穂事件に関する史料集、全18巻。編者は陸奥国(むつのくに)磐城平(いわきたいら)藩士で漢学者の鍋田三善((なべたみつよし)、晶山(しょうざん))。成立は、安井息軒(やすいそくけん)の序の記述から1851年(嘉永4)~1852年頃とされる。「鳩巣先生義人録後語(きゅうそうせんせいぎじんろくこうご)」をはじめとして、鍋田三善が数十年にわたり蒐集(しゅうしゅう)した事件に関する論説、記録、書簡など122種(国書刊行会本による)の史料を収録する。1910年(明治43)に国書刊行会より2冊本で刊行された。翌年、同会より刊行された西村豊(にしむらゆたか)編『赤穂義人纂書補遺』一冊には、本書に漏れた史料17種を収録している。本書の刊行により、福本日南(ふくもとにちなん)が著書『元禄快挙録』を書き改めるなど、赤穂事件研究に大きな影響を与えた。現在でも研究の基本資料の一つとされるが、偽書や俗書も含まれているので注意が必要である。
[平井誠二]
『『赤穂義人纂書 赤穂義士資料大成』全3巻(1975~1976・日本シェル出版)』