六訂版 家庭医学大全科 「踵骨骨折」の解説
踵骨骨折
しょうこつこっせつ
Calcaneus fracture
(外傷)
どんな外傷か
踵骨とは
踵骨は硬い皮質骨の薄い殻のなかに、
踵骨の大部分は海綿骨で血行がよいので骨が付きやすいのですが、その分、骨吸収も起こりやすく、骨
原因は何か
多くは高いところから飛び降りて踵を地面に打ちつけて起こり、踵が痛くて着けられなくなるので、診断は難しくありません。しかし、踵骨は複雑な形で、関節面が占める割合が大きく、狭い場所で体重を支えているので、でこぼこ道でも痛みがなく歩けるようになるまでに治すのは難しいことです。
治療の方法
踵骨骨折は、関節面がずれているかどうかで治療が大きく違ってきます。関節面が折れていない場合は、そのままギプスで固定すれば治ります。
関節面が折れてずれている場合は、骨折の形と骨折線の数、ずれの程度によって、徒手整復といって外側から手で整復できるものから、釘を外側から刺して整復するもの、手術で開けて金属の板とネジで固定しなければならないものとに分かれます。普通のX線写真で診断できる場合もありますが、断層撮影やCTが必要になることも少なくありません。
いずれにしても、時間がたつと踵がはれ上がって治療が難しくなるので、至急に整形外科を受診しなければなりません。遅くなると整復が難しくなり、皮膚に
整復さえうまくいけば、骨は付きやすいのでギプス固定は比較的短期間ですみます。逆に、あまり長くギプス固定しすぎると骨萎縮のための痛みが長引きます。
程度にもよりますが、痛みが完全にとれるのを待っていると社会復帰が遅れ、骨萎縮の痛みが続くので、ある程度の痛みはがまんして日常生活にもどる方が治りがよいようです。
井口 傑
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報