骨折(読み)コッセツ(英語表記)fracture

翻訳|fracture

デジタル大辞泉 「骨折」の意味・読み・例文・類語

こっ‐せつ【骨折】

[名](スル)骨が折れること。また、骨にひびが入ったり、その一部または全部が折れたりすること。傷口が開いていない場合を閉鎖性骨折・単純骨折、傷口が開いている場合を開放性骨折・複雑骨折とよぶ。
[類語]脱臼捻挫挫く

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精選版 日本国語大辞典 「骨折」の意味・読み・例文・類語

ほね‐おり‥をり【骨折】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 苦労すること。精を出して働くこと。尽力すること。
    1. [初出の実例]「何となくとも今宵か明日か心落に落んずる城を骨折(ホネヲリ)に責ては何かすべきとて」(出典:太平記(14C後)二九)
  3. 労力に対する報酬。仕事に対する礼。骨折賃。
    1. [初出の実例]「ほねをりとて、御かうはこたふ」(出典:御湯殿上日記‐明応四年(1495)七月二七日)
    2. 「さらばほね折に是をそなたへ呑さう」(出典:虎寛本狂言・棒縛(室町末‐近世初))

こっ‐せつ【骨折】

  1. 〘 名詞 〙 骨が折れること。外力が骨に加わり、骨組織の連絡が部分的または完全に離脱した状態。
    1. [初出の実例]「しかも、余程の力でぶつからなけりゃ、これだけの骨折が出来る筈がありませんよ」(出典:彼と彼の内臓(1927)〈江口渙〉)

ほね‐おれ‥をれ【骨折】

  1. 〘 名詞 〙 苦労すること。骨が折れること。大いに労力がいること。また、大いに労力がいったこと。
    1. [初出の実例]「あらくたびれやほねおれや」(出典:虎明本狂言・節分(室町末‐近世初))

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改訂新版 世界大百科事典 「骨折」の意味・わかりやすい解説

骨折 (こっせつ)
fracture

外力により骨の一部の連続性が断たれたものを骨折という。したがって〈ひび〉が入った状態も立派な骨折である。骨折の大部分は,正常な骨にその抵抗力以上の外力が加わって起こる外傷性骨折である。一回一回の外力はたとえ軽微であっても骨の同一部位に繰り返し加えられると,金属の疲労現象のようにその部に骨折が生じる場合があり,これを疲労骨折fatigue fractureという。また骨自体になんらかの病変があって,正常な骨であれば骨折しない程度の外力によって骨折を生じる場合を病的骨折pathological fractureという。骨折線の入り方からみると,完全骨折と不完全骨折に分けられる。すなわち骨折線が骨の全周にわたり完全にその連続性が断たれたときが完全骨折であり,部分的な場合が不完全骨折である。小児の場合,骨が柔らかいので不完全骨折の型をとることがしばしばあり,この場合若木を折ったときのようにみえるので若木骨折と呼ばれる。骨折部の皮膚との関係からみると,骨折部の皮膚が損傷されて皮膚の傷口と骨折部が交通する場合を開放骨折といい,受傷部の皮膚が損傷されていないとき閉鎖骨折と呼ぶ。開放骨折の場合,たとえ皮膚の創傷がどんなに小さくても,骨折部が直接外界と交通しているため,感染を起こす危険性があり,骨折の修復過程にも不利な点が多い。なお開放骨折と複雑骨折compound fracture,閉鎖骨折と単純骨折は同意語として用いられており,骨折線がどのように複雑であっても,外界との交通がなければ単純骨折である。しかし,このような表現はともすれば混乱を招くので,複雑骨折,単純骨折という名称は用いないほうがよい。

全身症状としては外傷直後の疼痛や出血により,ショック症状がみられることがある。おおよそ骨盤骨折では1500~2000ml,大腿骨折で1000ml,下腿骨折で500mlくらいの出血が起こる。骨折後数日間38℃前後の発熱(吸収熱),軽度の白血球増加,血沈値亢進をみることもある。

 局所症状としては,骨折部に疼痛を生じ,骨折部を動かすことにより疼痛は増強する。骨折部に限局した圧痛がみられ,診断上大きな意義をもっている。たとえば,骨折部で骨片どうしがかみ合った嵌入(かんにゆう)骨折や不完全骨折では,自発痛は少ないが骨折局所の圧痛点は必ず存在する。また健常部に加えられた力が骨折局所に働いて介達痛を起こすこともある。たとえば肋骨骨折のとき,胸郭を圧迫すると骨折部に疼痛が出現する。皮下に近いところの骨折の場合,おおっている皮膚に皮下溢血(いつけつ)斑が生じ,受傷直後よりも2~3日後に著明となる。また骨折発生と同時に機能障害を多少とも認め,この機能障害の程度は骨片転位の程度とだいたい並行し,不完全骨折では機能障害は軽度である。骨折部は血腫によるはれとともに,骨片転位による変形を認める。骨が完全に離断され,しかもかみ合わさっていないときには,異常可動性とともに骨折端が互いにすれあうコツコツする感じが得られるが,異常可動性やコツコツ音の検査を不用意に行うと,疼痛が増したり転位を増強して周囲組織を傷つけるおそれがある。

開放骨折では当然,感染の危険性が大きいが,たとえ閉鎖骨折であっても受傷部の皮膚が挫滅されている場合には,その部の皮膚が壊死に陥って結果的に開放骨折となることもある。骨折部近くを神経が走る場合,骨折と同時にその神経が損傷されることがある。また,ときには鋭利な骨片によって血管が損傷されることがある。骨折による骨髄損傷のほか,なんらかの原因によって脂質が脂肪滴となり,流血中を流れ栓子化して血管や毛細血管を閉塞することがあり,これを脂肪塞栓症という。全骨折例の1%内外に生じるといわれており,致命率も高い重篤な合併症である。骨盤骨折時などでは内臓損傷がしばしば合併し,重篤な経過をとることもあるので,副損傷の存在の有無には注意しなければならない。

治癒過程は年齢,骨折自体の状態,全身状態などにより左右され,条件がよければ治癒は促進され,条件が悪ければ治癒は遅れて,場合によっては治癒が中断される。骨折修復過程に関与するメカニズムは,組織学的・生化学的に複雑な経過をとるが,局所の反応として,まず外傷性の炎症が生じ,次いで肉芽が形成され骨新生が行われ,未熟な骨から成熟した骨へと進み,骨折部の癒合が完成する。この過程中形成される繊維組織,軟骨組織,未熟な骨組織(繊維骨)を総称して仮骨という。臨床的に重要なことは,未熟な繊維骨によって骨折端が互いにつながり,X線写真で仮骨形成がみられる時期には,骨折局所の圧痛もほとんど消失する。この時期には骨折部は弾力的につながっており,ギプスなどの外固定をはずすことができるが,下肢などの骨折では体重負荷は不可である。未熟な繊維骨が層状構造をもつ成熟した骨へと置換し,X線写真でもよく形成された骨により骨折部が連結されてくれば,骨折部は患肢の自由な使用に耐えられる十分な強度となっている。

(1)骨折一般の治療 治療の原則は骨の連続性を回復し,機能を正常化することで,そのために整復・固定・後療法が行われる。非観血的治療(皮膚を切開するなどして出血をみるような治療を観血的治療というが,非観血的治療とは出血を伴わない治療をいう)が骨折治療の本来のものではあるが,全身的ならびに局所的諸条件によって徒手や牽引による整復がなされたり,場合によっては手術的に整復が行われる。固定にはギプスや副子固定が行われ,観血的整復の場合には金属製の各種の固定材料,すなわちプレート,ねじ,キルシュナー鋼線,髄内釘などが用いられる。後療法は骨折癒合後機能障害をできるだけ残さないためのもので,関節の拘縮,筋肉や骨の萎縮をできるだけ防ぐために行われる。この後療法は骨折部の癒合完了を待ってから行うものではなく,骨折治療開始と同時に筋肉の収縮運動や動かしてよい関節の運動練習を開始する。骨折のための固定と関係のない関節は固定後ただちに運動を開始し,また内固定により強固な骨折部固定が行われている場合などでは,ギプスによる外固定などを施行することなく,術後できるだけ早期より運動を開始する。骨癒合完了時には機能障害を残さず,患肢を自由に使用できるようになることが目標である。

(2)開放骨折の治療 治療の最大の目的は感染の防止であり,事情が許せば縫合または植皮などで創傷を閉鎖する。感染防止のためには,創傷の洗浄と清浄化をはかることが,開放創処置の基本操作である。受傷後6~8時間以内であれば,創傷部の徹底的な洗浄と,挫滅・汚染組織の完全除去操作を行ったうえで創傷を一時的に閉鎖する。この時期のことを〈黄金の時間〉と称するが,創傷の一次的治癒が行われ,良好な機能が期待しうるからである。創傷発生後約8時間以上経過するが,まだ明らかな感染がみられない場合には,新鮮創と同様な創傷の清浄化を行い,状況に応じて創傷を一次的ないし二次的に閉鎖する。骨折の処置は,〈黄金の時間〉内で創傷の清浄化が完全に行われた場合には,原則的には閉鎖骨折と同様に扱ってよい。しかし,すでに時間が長く経過していたり,創傷の汚染が著しい場合には,創傷をできるだけ清浄化した後開放創のままにとどめ,二次的に創傷を閉鎖する。感染のおそれがある場合には,創傷内に生体にとって異物である金属材料を残さずに固定する創外固定法が有用である。

(1)疲労骨折 軽微な外力が繰り返し正常な骨に加えられた結果起こる骨折で,しばしばスポーツ選手などでみられる。昔,軍隊の行軍訓練で中足骨に生じたことから行軍骨折とも呼ばれている。この骨折は身体中のどの骨にも起こりうるが,最もしばしばみられるのは下肢であり,各種のスポーツの普及にともなってスポーツ障害の一つとして注目されてきている。疲労骨折の症状は疼痛がおもなもので,運動動作により疼痛が増し,安静をとれば疼痛がとれることが多い。とくに子どもの場合によくみられる脛骨近位部の疲労骨折の場合,X線写真で骨膜反応や石灰化陰影の存在のため化膿性骨髄炎や悪性骨腫瘍と誤診されることがある。しかし疲労骨折を起こさせるような疾走,跳躍の繰返しの病歴の有無や,好発部位・臨床症状・X線所見などでその鑑別は可能である。疲労骨折の早期診断には骨シンチグラフィーが有用であり,X線学的変化が出現する以前に異常集積像を発見することが可能であるという。この骨折が疑わしい場合には,2,3週間の安静をとらせ,X線検査で骨変化を追跡することが必要である。

(2)病的骨折 骨に病的状態が存在しているため構造上の弱点があって,通常では折れないほどの弱い外力で骨折を起こした場合をいう。基礎疾患中最も多いのが癌骨転移であるが,このほか先天性疾患,代謝性疾患,良性の腫瘍性疾患などさまざまのものがある。良性疾患による病的骨折の場合には,外傷性骨折と同様,正常機能の獲得が治療目標となるが,悪性疾患にもとづく場合には,治療の目標は主として骨折部の疼痛をやわらげ,看護面での全身および局所管理を容易にすることにある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「骨折」の意味・わかりやすい解説

骨折
こっせつ
fracture

骨の外傷で、外力の作用により骨の連絡が一部または全部絶たれたものをいう。骨折はいろいろに分類されるが、そのおもなものを次にあげる。

(1)皮膚の損傷の有無によって皮下骨折と開放骨折に分けられる。皮下骨折は皮膚の損傷がないもので、単純骨折ともよばれる。開放骨折は皮膚が損傷して骨折部が外界と交通しているもので、複雑骨折ともいわれる。

(2)骨折の程度によって、骨の連絡が完全に絶たれた完全骨折と、骨の連絡が一部だけ絶たれたもので部分的に保たれている不完全骨折に分けられる。

(3)骨に加わった外力の働きによって、裂離骨折、撓曲(とうきょく)骨折、圧迫骨折、引違い骨折、捻転(ねんてん)骨折、粉砕骨折などに分けられる。

(4)骨折線の形によって、横(おう)骨折、縦(じゅう)骨折、斜骨折、螺旋(らせん)骨折、複合骨折に分けられる。複合骨折は、骨折線がいろいろな方向に走って複合しているものをいう。

[永井 隆]

症状

骨折のときの全身症状としてショック症状や脂肪栓塞(せんそく)をおこすことがある。ショック症状としては、呼吸が浅く、脈拍数が増加するほか、脈拍微弱や血圧低下などがみられる。脂肪栓塞は、骨髄の脂肪が脳や肺の血管に詰まって脳症状や呼吸困難をきたすものをいう。

 局所の症状としては、まず疼痛(とうつう)があり、動かすと痛みが強くなる。また骨折部に著明な圧痛があり、これをマルゲーヌ骨折痛という。マルゲーヌJoseph François Malgaigne(1806―65)はフランスの外科医である。骨折部を中心に腫脹(しゅちょう)と皮下出血がみられるのが普通である。これは受傷直後には軽度であっても、数時間後ないし翌日に著明となる。完全骨折では骨折端の転位のために著明な変形が認められ、骨折部に異常可動性や骨折端が触れ合うためにコツコツといった音が認められる。また骨折のために運動が障害され、完全骨折ではとくに著明に障害される。

 骨折の合併症としては、皮膚の損傷のほかに血管や神経の損傷をきたすことがある。皮膚損傷のある開放骨折の場合は感染しやすく、感染すると治りにくくなる。

[永井 隆]

治癒経過

骨折は普通、適当に治療すれば仮骨ができ、やがて癒合して治癒するが、老人の癒合しにくい骨折や開放骨折で感染した場合などのように骨折の状況が不良なとき、あるいは治療法が適当でなかったときなどには異常な経過をとり、遷延治癒、変形治癒、仮関節になることがある。骨折の治療に要する日数は、骨折部位によって異なるほか、年齢が若いほど早く、骨折線の形にも左右され、また開放骨折では遅れる。

[永井 隆]

治療

患者がショック状態のときには、まず救急処置としてショックに対する治療を行い、骨折に対しては救急的に副子などで固定し、骨折そのものの治療は全身状態が良好となってから行う。骨折そのものに対する治療は、骨を元どおりに癒合させて、そのうえで骨折した患肢の機能を元どおりに回復させることにある。そのために整復と固定と機能訓練が行われる。

[永井 隆]

整復

整復はできる限り観血的手術をしないで保存的に行う。整復の際には痛みを除き筋力を弛緩(しかん)させるために、麻酔するのが普通である。保存的に整復ができなかった場合や不十分な場合には、観血的手術を行って整復する。また、持続的に牽引(けんいん)療法を行い、整復を図ることもある。

[永井 隆]

固定

転位のない骨折および保存的に整復ができたものに対しては副子固定、ギプス固定などの固定が行われる。観血的手術によって整復を行ったときは金属副子、ねじ、骨髄釘(てい)などを用いて骨を固定することが多い。このような内固定を行ったときも、ギプス固定を行うことが多い。開放骨折などの場合は、固定の目的で牽引療法も行われる。

[永井 隆]

機能訓練

ギプス包帯などによる固定期間中も、固定されていない部分はできるだけ動かして血行をよくし、筋肉の萎縮(いしゅく)を防止することに努める。固定装具や免荷装具を装用した時も同様であり、また装具装用で可能な範囲の運動練習を行う。骨が癒合して固定を除去したら温浴、自動的・他動的運動練習などの機能訓練を行い、関節の可動性と筋力の回復を図り、正常な機能を取り戻すようにする。

[永井 隆]

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家庭医学館 「骨折」の解説

こっせつ【骨折】

◎折れ方、場所などで分類
 直接あるいは間接的に加わった強い外力により、本来、ひとかたまりである骨のつながりが途絶えてしまう状態が骨折です。完全につながりが絶たれる完全骨折と、部分的につながっている不全骨折とに分けられます。
 骨折は、折れ方によって、さまざまの名前がついています(図「折れ方による骨折の分類」)。
●折れ方による分類
 棒を折るようにまっすぐ折れるのを横骨折(おうこっせつ)、斜めに折れるのを斜骨折(しゃこっせつ)、ねじったように折れるのを螺旋骨折(らせんこっせつ)、ひびが入ってもつながっているのを亀裂骨折(きれつこっせつ)、くぼんでいるのを陥没骨折(かんぼつこっせつ)、押しつぶされるのを圧迫骨折(あっぱくこっせつ)、一部分がはがれるのを剥離骨折(はくりこっせつ)、ばらばらにくだけてしまうのを粉砕骨折(ふんさいこっせつ)といいます。
 また、骨だけが折れる単純骨折(たんじゅんこっせつ)、骨以外の組織にも損傷を負った複雑骨折(ふくざつこっせつ)のように、損傷を受けた組織の状態によっても名前がかわります。
●状態・原因などによる分類
 さらに、つぎに述べるように、骨折の原因、骨折の状態、外力の加わり方、折れた骨の名前や骨折したからだの部位名によっても分類されます。
■開放性骨折(かいほうせいこっせつ)
 複雑骨折のうち、皮膚まで破れて外から骨が見える場合を開放性骨折(図「開放性骨折」)と呼びます。
 骨が体外に露出するため、外に出ない閉鎖性骨折(皮下骨折)に比べて、感染の機会が多くなります。
■疲労骨折(ひろうこっせつ)
 一度に大きな力が骨に加われば、骨折をおこしますが、針金を何度も曲げ伸ばししていると金属疲労で切れてしまうように、小さな外力が連続的に何度も加わって骨折に至るのが疲労骨折です。
■病的骨折
 全身性の病気によって骨が弱くなったり、骨そのものにおこる病変(骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、骨腫瘍(こつしゅよう)、骨髄炎(こつずいえん)など)によって骨がもろくなることがあります。この場合、ふつうなら骨折しないような弱い外力が加わっても折れてしまいます。これが病的骨折です。
■脱臼骨折(だっきゅうこっせつ)
 脱臼は骨折がともなうことがあります。脱臼だからと安易に考えず、受診してX線検査などを受け、骨折の有無を確かめる必要があります。

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百科事典マイペディア 「骨折」の意味・わかりやすい解説

骨折【こっせつ】

外力により骨組織が離断された状態。普通,青壮年に多く,男性は女性の4〜5倍。上下肢の骨に起こることが最も多く,そのほか肋骨(ろっこつ),鎖骨などにしばしば認められる。老人性変性,骨髄炎や骨腫瘍(しゅよう)などの病気により骨質がもろくなっているときは,わずかな外力でも骨折が起こる。弾力に富む小児の骨では,骨折が起こっても,ずれが起こらないこともある。骨折により,皮膚が破れて骨が外界に接するものを複雑(開放性)骨折,そうでないものを単純(閉鎖性)骨折という。大きな骨折では,ショック状態に陥ったり,臓器損傷を伴うことがある。また一般に骨折とともに神経や血管の損傷も起こるから,早期の診断と治療が必要。治療は,牽引(けんいん)などで骨折部位をもとの状態に戻す(整復)保存的療法もしくは,整復が不可能な場合は手術を行い,ギプスなどで固定し,筋萎縮や関節の運動障害を防ぐためマッサージ,温浴療法などを行う。→骨粗鬆(こつそしょう)症
→関連項目副子腰痛症

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「骨折」の意味・わかりやすい解説

骨折
こっせつ
fracture

強い外力を受けて骨が部分的あるいは完全に離断された状態をいう。完全骨折 (折れた場合) と不全骨折 (ひびの場合) ,単純骨折または閉鎖骨折 (皮膚が破れていない場合) と複雑骨折または開放骨折 (皮膚が破れ,骨折部が体外と連絡している場合) などに分ける。症状は,局所の疼痛,変形,腫脹,骨折端の触れ合う音がすることなどで,ショックなどの全身症状を伴うことが多い。外力の加わり方によって分類すると,外力の作用した部位に起る直達骨折,作用点から離れた部位に起る介達骨折に分けられる。また,病的要因で起る病的骨折もある。一般的な治療としては,転位した骨片を整復し,安静とギプス包帯や副木による固定を行うほか,必要ならば牽引や手術も行う。

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デジタル大辞泉プラス 「骨折」の解説

骨折

英国の作家ディック・フランシスのミステリー(1971)。原題《Bonecrack》。競馬界を舞台にしたシリーズの第10作。

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栄養・生化学辞典 「骨折」の解説

骨折

 骨を折ることで,横骨折,らせん骨折など,また剥離骨折,亀裂骨折など諸種の型が区別される.

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世界大百科事典(旧版)内の骨折の言及

【仮骨】より

骨折の際の骨欠損部をうずめるために新生した不完全な骨組織をいう。骨折のときは血管も破れ出血が生じ血腫ができる。…

【偽関節】より

…骨折の治癒障害の一つ。骨折が生じると時間の経過とともに骨折局所に修復機転が進行し,やがて骨折が治癒する。…

【骨】より

…成長期の骨の骨膜は,骨の表面に骨質を新生することによって骨が太くなるが,成人の骨では造骨作用を休止して,骨の栄養をつかさどっている。しかし成人でも,骨折を起こしたり,手術で骨を削ったりすると,それが刺激になって骨膜が若がえり,再び一時的に造骨機能をとりもどして,骨を新生する。
[さらした骨]
 上に述べたのは生体内にある骨の状態であるが,これから軟組織すなわち骨膜,骨髄,軟骨などを取り去っても,骨の形態には本質的な変化は起こらない。…

※「骨折」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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