普及版 字通 「迺」の読み・字形・画数・意味
迺
10画
(異体字)廼
9画
[字訓] すなわち
[説文解字]

[甲骨文]

[金文]

[字形] 象形
字の初形は、
(ゆう)形のものを、その下部を包んでおく形。
は酒器。もと
の形で、古くは自然に
酵(はつこう)したものを、神酒として供えたのであろう。のち秬鬯(きよちよう)(香をつけた酒)を用いて、金文には「秬鬯一
」のようにいう。金文にまた、「廼(すなは)ち」という副詞に用い、「廼ち賜ふ」「廼ち許す」のように用いる。〔説文〕五上に
(じよう)を録し、「
く聲なり。乃(だい)の省に從ひ、西(いう)聲」とし、「或いは曰く、
は
くなり。讀みて仍(じよう)(仍(すなは)ち)の
(ごと)くす」という。〔唐写本玉
〕に「廼は
古
の
なり」とあり、〔説文〕乃部に
を録して「气の行く皃なり」とし、「讀みて攸(いう)の如くす」とみえる。廼・迺は〔説文〕にみえないが、卜文・金文に
の字があり、早くから副詞に用いられている。[訓義]
1. おどろく声。
2. ゆく、いたる、とおい。
3. 乃と通じ、すなわち、はじめて、なんじ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕廼 スナハチ・ナムヂ・トホシ・ウツル・タノシブ・ユク・シメ 〔
立〕廼 スナハチ・ハジメ・タノシム・ユク・ナグサム・ナムヂ・ウツル・トホシ 〔字鏡集〕廼 ヤスシ・ナムヂ・スナハチ・ハジメ・オホキナリ・ナヲシ・タノシブ・ユク・シメ・ヒキハナル・カタシ・ウツル[語系]
廼・乃n
は同声。而nji
も声近く、これらの字の間に通用の関係がある。[熟語]
迺翁▶・迺公▶・迺今▶・迺在▶・迺者▶・迺父▶・迺日▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

