日本大百科全書(ニッポニカ) 「透水係数」の意味・わかりやすい解説
透水係数
とうすいけいすう
地層の透水性の程度を示す係数。地層の多孔体中の層流に関する基本則のダルシーの法則を、q=KIと表したとき、qを比流束(またはダルシー流速)、Iを動水勾配(こうばい)、比例定数Kを透水係数という。qとKはともに速度の次元をもつ。物理的には、多孔体中で流れの方向に直角な単位断面積を、単位の動水勾配の下で単位時間内に通過する水の量と定義される。
透水係数は一般に粒径のそろった粗粒な地層ほど大きく、細粒で混合粒径の地層ほど小さい。地下水を取水する帯水層の透水係数は日当り0.1~100メートル程度である。透水係数は地層の性質のほかに、水温、封入空気、イオン組成など水の性質によっても変化する。水温が高いほど透水係数は大きい。封入空気は水の流れを妨げ透水係数を低める。堆積(たいせき)層の透水係数は、土粒子の配列構造や地層の層構造のため、一般に水平方向の透水係数が垂直方向のそれよりも大きく、異方性を示す。
[榧根 勇]