日本大百科全書(ニッポニカ) 「選叙令」の意味・わかりやすい解説
選叙令
せんじょりょう
令の篇目。養老令では第12篇、38条からなる。官人の叙位・任官につき規定。叙位については、年間の日程・手続きに始まり、職種や勤務形態ごとに、叙位までに要する勤続年限や、勤務評定に応じて昇進すべき階数、官吏登用試験(貢挙(こうきょ))や蔭位(おんい)による叙位などを定める。任官に関しては、官人の兼官や致仕(辞職)などの人事細則があり、郡司(ぐんじ)、国博士、帳内(ちょうない)・資人(しじん)など下級官人の任命・人事・叙位の規定も含む。飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)の考仕令が大宝令で選任・考仕の2篇となり、さらに養老令で選叙令・考課令となったもの。唐の選挙令に対応するが、官吏登用試験を、渡来系氏族などを対象とする中下級官人の登用に限定したほか、任官関係の条文の多くを叙位の規定に改変するなどの相違がある。
[大隅清陽]
『野村忠夫著『古代官僚の世界』(1969・塙書房)』▽『井上光貞他校注『律令』(『日本思想大系3 律令』1977・岩波書店)』